Dear Destiny ~僕が見える君と~

いつの間にか ページ40

恋愛なんて当分したくないって思ってたのに
もうここまでくると誤魔化せなくて

お使いさんに対するこの気持ちには
いつの間にか名前がついた。





この気持ちの行き場なんて決まってて

生きてる世界が違うから

お使いさんにその感情があるとは思えないから

どうせ叶わないなら、怖いものはなかった。









バルコニーでのいつものお喋り。


いつもと変わらないトーンで
おはようって言うくらいのテンションで。









.









『私、お使いさんのこと好きになった』








.









「……え？」



『好きだよ』



「……」



『びっくりした？』



「まぁ…ちょっと」



『私が勝手に好きなだけだから
今まで通り過ごせればいいの』



「…いや」





戸惑う声が聞こえて顔を見れば
叶わない気持ちを抱えてる私より
何故か浮かない顔…


困らせたかったわけじゃないけど
そりゃ、いきなり人間に好きって言われたら困るか…





『そんな顔しないで？』




「あ、違くて……」




『いいの、伝えたかっただけだから』




「困ってるわけじゃなくて…」





本当に伝えたかっただけ。


とはいえ、答えを分かってはいたけど
それなりに心は沈む。


それに、困らせたくないって言ってないのに
ちょっと心読んだなって思った。



快晴だった空が曇り始めて
雨降りそうだなぁって
バルコニーの手すりに手をかけて空を眺めた。









「まさか一緒だと思わなくて…」









『……え？一緒？』









「僕も君が好きだよ」

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