Dear Destiny ~僕が見える君と~

2人の願い ページ27

「なつき、最近機嫌いいね」



休憩室のソファーに座って本を読む僕の隣に
腰をおろしたのはナツキ。


同じ名前ってこともあってわりと仲は良い。

というか、2人1組で行動するから
ほぼ一緒にいるのが当たり前。




「そう？」


「なんかいいことでもあった？」




自分も持ってきた本を広げて
視線を落としながらそう聞く。


ぶっきらぼうに話すナツキだけど
案外周りをよく見てて
そういう変化にはわりと気づかれる。


いいこと…か。

一つしか思い当たらないけど…




「…なんもないよ」


「ふーん？
最近よく向こう行ってるのとは関係ない？」


「ははっ、バレてるね。笑」




やっぱり誤魔化せそうにない。




「白状する気になった？笑」


「ナツキには敵わないな。笑」




仕方なく、君との出来事を話すことにした。




「最近よく呼ばれるんだよね」


「呼ばれる？どういうこと？」


「僕の姿が見える人間に会ったんだ。
その子に呼ばれる」


「え？マジ？
それってもうすぐだからじゃないの？」


「多分違う、だって呼ばれることなんてなくない？
こっちから行くものだし、リストもきてないし」


「まぁ、そうか」


「初めてのことだったし最初はびっくりしたよ」


「本当にそんなことあり得んだね。
ただの噂だと思ってた」


「僕も。それで、その子が…」




君の言動や行動を思い出して
無意識に笑みが溢れる。


君は僕が見てきた人間の中で
一番分かりやすくて一番分かりづらい。

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