Tie and Tie -Leiya Seguchi- 2

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颯太side





傷だらけの理由が

"実は自分は鬼邪高の生徒で
鳳仙と手を組んで牙斗螺と喧嘩した"

なんて言えるわけもなく話題を戻した。





頭の中にある記憶の引き出しを
ひとつひとつ開けていくように…











「Aと翔太くんが施設に来て
少し経った頃なんですけど」


「……」


「施設にスーツの男の人が何人か来たことがあって…」


「スーツの男？」


「はい。その時、翔太くんはまだ学校にいて
Aと僕は施設の庭で遊んでました」


「……」


「そしたら、施設の人が慌てて来て…」









頭の中で再生されるその映像







"「颯太！Aを連れて自分の部屋に戻りなさい！」"


"「いいって言うまで絶対出てきちゃだめ！」"






焦った施設の人の声が響く。


訳も分からないまま、僕はAの手を引いて部屋に戻り
ベッドの後ろに隠れた。








"「そうた…？」"








不安そうな声に






"「大丈夫、僕が守るから」"






なんて、答えたけど
あんな子どもに何が守れたんだろう。



どっちの手が震えてるのか分からないくらい、
その小さな手を強く握り続けるしかできなかったくせに。




でもこの時は本気でそう思ってたんだ。









少しして、近づいてきた足音


息をする音すら聞こえてしまいそうで
Aは膝を抱え、俯いていた。








"「中尾A様を引き渡していただきたいんですが、」"


"「この施設にそんな子はいません」"


"「はぁ…ここにいるのは確認済みなんですよ」"


"「…あまりしつこいと警察を呼びますよ！」"







聞こえてきた会話に
思わずAの耳を塞ぐように抱き締めたのを覚えてる。




そして、部屋の前で止まった足音が
しばらくして遠ざかっていった。








今思えばあれは……

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