Tie and Tie -Leiya Seguchi- 2

. ページ26

「ただ…」








離れてしまった理由は話してくれなかったけど

そう切り出した木村の話は
想像もしてなかった内容だった。








「探してたんです、ずっと」


『…ずっと？妹を？』


「はい。でも、いくら探しても妹は見つからなかった」








切なそうに見つめ、手に取った写真。







「手を尽くしてしまって、諦めかけた時
人伝にLグループが後継者探しをしてるのを聞いて…」


『……』


「後継者探しをしながら
妹を探せるかもしれないと思いました。

Lグループの力があれば
1人で探し続けるより可能性はあるって」


『…そうだったんだ』


「はい、」


『それで……』


「…あ、妹は最近になってやっと見つかりました。
A様の捜索がSWORD地区に移って
無名街にいたのを見つけて…」


『無名街…』


「でも……」


『……』


「A様も知っての通り
"ここ"にいる限り自由がないのは僕たちも一緒なので…」


『……っ』


「見つかった時の、その一度きりしか会えてません」


『そんなの…』











この感情は知ってる。



でも、今も私はこれをどうするべきか分かってなくて
ずっと自分の中でくすぶっていて…



その答えを知りたくて…

　








『…なんで、話してくれたの？』








その疑問にしばらく考えた木村は









「少し、自分たちと重なったんです」


「もし一緒にいられたらA様たちのように
お互いを思って守り合えてたのかなって」










心許せるような関係ではないのに


どうしてこんな話をしてくれたのか…

どうして憎めないのか…


少し分かった気がした。





捨て切れない人間くささとか
兄としての優しさみたいなものを
どこかで感じてたからだ。








でも……

.→←.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す