. ページ16
だから…
その日は生憎の雨で
学校の裏門にいた、スーツを着た数人の男
黒塗りの車に"その人"が乗り込む瞬間
傾いた黒い傘から見えた…
「お嬢様、どうぞ」
『……』
「A…!!」
それはまるでスローモーションのように
降り続く雨粒すらゆっくりと。
声に気付いたAは一瞬驚いて、俺を映す。
『れいや…』
雨音で聞こえない声で確かにそう呟き、
苦しそうに表情を変えた。
その顔をさせてるのは
こいつらなのか俺なのかは分からないけど
頭で考えるのは苦手だ。
だから考えるよりも先に動いてた。
自分の傘を投げ捨て、車に駆け寄る
肩から落ちる赤い法被
あっという間に閉められたドア
止めに入る男を押し除け、窓を叩き、叫ぶ…
「A…っ!お前、なんで…っ」
「戻ってこいよ…!!」
窓越しに見えたAは俯いていて
やっと顔を上げたと思ったら
その表情はさっきと打って変わって冷たく
見たことのない無機質な瞳は、もう俺を映さなかった。
.
.
気を抜いたその一瞬で
男に両腕を掴まれ、車から引き剥がされてしまう。
「離せっ!!」
どうにかその腕を振り払ったけど
あっという間に動き出す車
雨の中、ただただ立ち尽くし、
Aが乗った車を
見えなくなるまで見つめるしかなかった。
大雨のはずの雨音すら掻き消して
車が走り去った後の見慣れた通りは色を失い、
Aと過ごした時間は、止まった。
42人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あおい(プロフ) - ななさん» 良かったです笑 こらこそありがとうございます🙈 (1月10日 11時) (レス) id: 90ca68a788 (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - あおいさん» めちゃくちゃ説得力あって安心しました😂笑 ありがとうございます! (1月9日 23時) (レス) id: ecac200247 (このIDを非表示/違反報告)
あおい(プロフ) - ななさん» ななさんが思ってるよりめちゃくちゃ黎弥くんっぽいです!!笑 (1月9日 20時) (レス) id: 90ca68a788 (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - あおいさん» あおいさん!黎弥っぽく書けてるかめちゃくちゃ不安ですが…💦笑 こちらこそいつもありがとうございます😭 (1月7日 23時) (レス) id: ecac200247 (このIDを非表示/違反報告)
あおい(プロフ) - 黎弥くん最高です🙈💗いつも素敵なお話ありがとうございます!! (1月7日 21時) (レス) @page48 id: 90ca68a788 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:なな | 作成日時:2023年11月3日 0時