Cool Girl

妹なりのプライド ページ6

大樹side


「ここは？右と左どっちがいいかな？」


『ここは立ち位置変えない方がいいと思う』


「あ、じゃあこれは？」


『それもいいね。
DDは雰囲気出すためにMVに合わせて…
こうするのは？』


「めっちゃいい！それにしよ！」





家に着いてもリハのテンションが抜けなくて
Aと試行錯誤。


よくこうやって手伝ってもらう。





「やっぱりAに見てもらってよかった！
明日みんなに話してみるね！」


『うん。参考程度に』


「ありがとう！」


『ん。でも私が考えたって言わないで』


「また言っちゃだめなの？」


『ファンのみんなは
ファンタのみんなが考えたライブとかイベントに
来たいと思うから』


「でもAのセンスはやっぱり他とは違うし
いいものになるなら
それでもいいと思うんだけどなぁ」


『…一番大事なのはファンのみんなだから
みんながどう思うか考えて。
お兄ちゃんがそこを理解してればいいと思う』





そう言って付け加えたのは





『リハで手伝ったりしてるのと同じだから
メンバーのみんなには話してもいいよ。
でも取材とかで浮かれて名前出さないでね。
私の名前出すならちゃんと仕事として依頼して。
ギャラももらうからね』


「さすが」





やっぱりまだ"佐藤大樹の妹"っていうのは付き纏う。


だからこれはAなりの線引きというか
プライドなんだと思う。



でも本当にAは作詞作曲、振り、演出、企画、
全部できる上にセンスもあるのに
本人は自覚ないから謙虚。




結局12時近くなって





『もう寝ない？』


「俺もうちょっと考えたいから寝ていいよ」


『わかった。ほどほどにね』


「心配してくれてんの？優しいなぁ」


『お兄ちゃんが体調崩したら面倒見るの私だし
風邪でもひかれてうつったら大変じゃん』


「ありがとう！」


『何言ってんの。もうはやく寝なよ』


「はーい。おやすみ！」


『…おやすみ』






小さい声でおやすみを返して
Aは自分の部屋に入った。





これが優しさと照れ隠しってわかってるから
もうかわいいのなんの。


でもその分誤解もされやすいから
理解してくれる周りの人たちには
俺もAも感謝してる。

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