紅一点×SnowMan (ページ28)

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★ ページ28

この子は一体どれだけ自分を否定してきたんやろう。

誰かがこの子の全てを認めてあげてほしい。
願わくばそれが俺であったらええのに。
この涙を見て一気に惹かれたのは確かだ。

健人の家に行くんやろうなって気はしていたけど、
そこは自分のエゴもあったし、疲れとるなら
ちゃんと休んでほしくて断るように言った。

そしたら自宅に誘われたのだ。

『自宅に人を呼ぶのは重岡くんが2人目です。』

「えっ？そうなん？1人だけおったんや。」

『はい、その人は私の親友みたいな人ですけど。』

絶対親友ちゃうやん。

一瞬だけ、役の時の顔してた。健人の恋人役として
好きだって気持ちを全面に押し出している顔。

この子も好きな人とかおるんやな。
安心と同時に誰だか分からないそいつに
嫉妬している自分もおる。

「そうなんや。ほんまいきなりごめんやで。」

『いえ。私ももっと重岡くんといたいと思いました。』

そんなん軽い気持ちで言ったらあかんで？
って言いそうになった。

自宅に着いて、部屋の中に入る。

全然生活感のない家だな。

「一人暮らしなん？」

『はい。中学生の頃から。』

「ええっ？親御さんは？」

その言葉に暗い顔をする松雪さん。
あ、あかんかったか。

「ごめっ、、、嫌やったら言わんでええよ。」

『あ、いや。これ言ったら気を遣わせてしまうかなって。父は物心ついた時にはいなくて。母は私が芸能界に入ったことで精神を壊して、今は精神病院に入院してます。』

そうやったんや、、、。ほんまにこの子辛い思いを
たくさんしてきてるんやろな。

「そうやったんや。辛いこと言わせてごめんな。」

『いいえ。大丈夫です。ご飯、食べたいものとかってあります？』

うーん。なんやろな。
そこまで考えてなかったなぁ。

「和食かな。」

『和食、、、。分かりました。20分ほどお時間もらってもいいですか？』

「え？むしろ20分でできるん？すごない？」

『そうですかね？簡単なものなので時間はかからないですよ。』

そう言ってキッチンに向かう松雪さん。
俺もカウンターの見える位置に移動する。

「ほんまは俺も作れたらえーのやけど、全く料理ができひんのよ。」

『大丈夫ですよ。テレビでも見てて待ってて下さい。』

エプロンをきゅっと結ぶと料理を始めたA。

手際がええなあ。めっちゃ良い奥さんになりそう。
ほんまに年下なん？やばい、かわええ。

そんなことばかり考えてしまう。