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夜風に当たっているのかな?
ベランダに行こうとしたら、電話口で話す声が聞こえた。


『んー?ふふっ。そうなの。だからね、もうアクロバットのレッスンに参加したくないからとりあえず自分のできる1番難しい技をしたらね。もう教えることはないだって。だから次からずっと免除だよ。うん、うん。まあ、歌とダンスはね。まだまだ納得できてないから。』


Jr.かな?
どうやら今日のレッスンの話をしているみたい。


噂ではダンスもアクロバットも歌も
超一流と聞いたけど、本当みたいだな。


それよりも気になったのが彼女の表情だ。
こんなに穏やかで愛しいものを
見るような顔をしているのを初めて見た。


相手のJr.のこと好きで好きでたまらないって顔。
決して自分に向くことはない、
そんな顔をさせられるそいつが心底羨ましくて。


そっと姫に近づくと後ろから抱きしめた。


『うん、うん。じゃあ、切るね。おやすみ。』


スマホをタップして電話を切る。
顔を覗くといつも通りの姫だった。


「だれ?」


『んー?親友。』


「そいつのこと好きなの?」


電話口からかすかに聞こえてきた男の声。
聞き覚えがあったけど、ほんの数秒じゃ分からなくて。


『どうだろうね。そんな簡単な関係じゃないよ。』


肯定とも否定とも取れる態度だけど、
顔つきを見たら分かる。


誰だか分からないそいつに嫉妬して、
こちらを振り向かせると、深いキスをした。


「ベットに戻ろ?」


このなんとも言えない気持ちを彼女の身体にぶつけて。
お互い力尽きるまで夜を共に過ごした。


「んー、、、。」


朝というか昼に近い時間に目が覚める。
姫の姿がベットにはない。


リビングに行くとおにぎりと冷蔵庫の
余り物で作ったのであろう野菜炒めがある。


LINEを開くと一通のメッセージ。


【おはよう。今日は朝から仕事だから先に家でたよ。鍵はポストに入れた。】


朝食のことには一切触れず、業務連絡のみ。


ほんと、こんなことされるから好きなのかなって
勘違いするし、沼から抜け出せないんだ。


姫の作ったおにぎりを食べる。


「うまっ。」


嬉しい気持ちと虚しい気持ち。
どちらも生まれるのは昨日の彼女の表情を見たからだ。


いつか俺が振り向かせられたらいいのに。そう思った。

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設定タグ:SnowMan , 紅一点 , SixTONES   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:しょこら | 作成日時:2024年1月7日 5時

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