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あー。そんな感じなら入れば良かった。
そう思った時、突然こっちの方を向いてきて、
バイバイと口パクで手を振っていなくなった。
あー、もう。あれはやばいって。
ドキドキする心臓がなかなか収まらなくて、
しばらく呆然と立ち尽くしていた。
それからしばらく経って、夏休みも終盤に差し掛かる。
お付き合いが始まったことは一応俺の立場もあるし、
周りにはお互い一切言っていない。
悲しいことに、
Aは元彼が芸能人ってこともあって
その辺の理解は深い。
てか元彼って誰なんだろ。聞きたいけど、
俺よりも遥かに有名な人だったらと思うと
怖くて聞けることはなかった。
そんな中、今日はAの家に行くことになっている。
仕事の忙しさとかもあってか、
俺の宿題が全然終わらなくて。
手伝ってくれることになっている。
前に来た見覚えのあるエントランスをくぐる。
確か部屋番は、と。聞いた番号を押す。
『はーい！あっ。今開けるね。』
オートロックが解除されて自動ドアが開く。
エレベーターに乗って、部屋の前まで来た。
インターフォンを押すと同時くらいに開くドア。
『やっほ。』
「なんか久しぶりな感じ。」
『確かにー。電話とかはしていたけど、なかなかお互いタイミング合わなくて会えなかったんもんね。どうぞ。』
部屋に入ると、さすがは
ファミリータイプということもあってかなり広い。
ここに1人で住んでるとかやばい。
しかも綺麗だし、すごく部屋がいい匂いするから
緊張する。
「めっちゃ広いね。」
『だよねー。1人で住むようなところじゃないよ。私の部屋もあるけど、そっちにはテーブルないからさ。ダイニングでもいっかな？』
おそらく家具や家電は
全て置いていってもらったんだろうな。
家族用のものが多い。でも、なんていうか。
ほんとに新しさを感じる。
「うん、大丈夫。てかあんまりここに住んでなかった？ご家族。」
『あ、やっぱ分かっちゃう？そうなの。実は1年前に買って住み始めたのにその数ヶ月後にアメリカの大学に引き抜きされちゃってね。だからほぼ両親は住んでないの。家具も家電も全部揃えたのにね。海外じゃ使えないし、向こうでは大学がある程度揃えてくれるからいらないって置いてったんだよ。』
ほんと意味ないよねー、なんて笑っている。
『じゃっ。勉強しよっか。私は大学の課題もやりたいから分かんないところあったら聞いてー。』
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作者名：しょこら | 作成日時：2023年12月21日 21時
