紅一点×SnowMan⑧ (ページ32)

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「じゃあさ、あの時気づいていたわけ？私が通っていたの。」

雨『うん。同じ授業取っていたからね。だけど、多分私くらいじゃないかなー。気づいていたのは。樹くんとよく一緒にいたよね。』

私のかなりのファンであることは間違いないのだけど、
こうして会う時はプライベートとして会ってくれる。

で、やはりこの子は相当なお嬢様でもあった。
有名企業のご令嬢で。

そんな背景から、今の職場に就職したらしいんだけど。

ただ、男性関係はやはりバックが強すぎて、
なかなか大変らしい。

騙されそうになったことが多数だそうだ。

「なんかさ、最近やたらと告白されるんだよね。」

『そうなの？』

「うん。春に彼氏と別れたんだけど、そこから声かけられるようになって。だけどちょっと重荷というか、なんというか。」

『なるほどねぇ。』

うーんと言いながら考えている姿は
私とは正反対の可愛らしさがある。

『仮の彼氏作っちゃえば？』

「へ？」

『別に彼氏になる必要はないけど、彼氏いますよ的な雰囲気を醸し出すの。そうすればよっぽどの猛者じゃない限り、告白とかしてこないんじゃない？』

「なるほどねー。それは一つかもしれない。」

『彼氏なぁ。欲しいなー。』

「いないの？」

雨木ちゃんはビールの入ったグラスを置くと、
低い声で言い放った。

『あのねぇ、私の中では松雪ちゃんがイケメンすぎて。他の男見ても何にも思わないのよぉぉぉ。』

「あ、そ、そうなんだ。」

あまりの迫力に少しだけ後退りする。

『まあ、それは冗談だけど。今は仕事が楽しくてねー。あんまり男って気分にはならないのよ。』

「なるほど。」

『まあさ、人肌は欲しいから、お遊びの人はいるけど。』

そう言ってケラケラと笑う雨木ちゃんは、
間違いなく私と同じ部類の人間だ。

「分かる。私も人肌がないと寝れない。」

『だよねー。いつかは落ち着かないといけないのは分かってるんだけど。どうせどっかの御曹司とお見合いなんだろうなって感じだからさ。』

そっか。自由に恋愛ができないって意味では
私と同じ立場なんだ。だから気が合うのかもしれない。

「大変だね。」

『お互いさまね。』

そう言ってケラケラと笑いながら、夜遅くまで話していた。