紅一点×SnowMan⑦ (ページ35)

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★ ページ35

あわよくば、それが俺だったらいいのに。

やっぱり俺はA以外を好きになるのは
無理だろうから。それならいっそずっと独身のままでいい。

「ところでどこ行くの？」

『もう着くよ。』

着いたのはコインパーキングで。

『少し歩くから、帽子は目深に被って。』

「分かった。」

Aに言われた通り、帽子を被りついていく。
少し歩いて着いたのは、厳かな建物だった。

『はいろっか。』

入ると、そこにはお寺の文字。
けど、いわゆるお寺の感じではなく、ビルっぽい感じだ。

中に入りカードをかざす。入り口横で
花束を買うとエレベーターに乗り込んだ。

「ここってまじのお寺？」

『そう。近未来的でしょ。この後もっと驚くよ。』

そう言われると一つの部屋に入る。
またカードをかざすと、音と共にしばらくして
一つの箱が出てきた。

『ここね、両親のお墓。』

「まじ？今時ってこんな感じなの？」

『ね。ここにお父さんとお母さんが眠ってる。まあ、お父さんは骨はほとんどスウェーデンにあるみたいだから、喉仏の骨だけみたいだけど。』

そう言って、お花を飾って、手を合わせてる。
俺も一緒に手を合わせた。

『ふぅ。ありがとね。』

「ううん。」

『デビュー決まったら、来ようって決めていたんだ。』

「そっか。」

なるほど。両親にデビューしたことを報告したのか。
きっとAは見てもらいたかったよな。

『よく考えたら、毎月母が20日の夜に1人で出かけてたんだよね。きっと父の月命日だからお参りしていたんだと思う。父は幸せ者だよね。ずっと母に想われていて。』

そう言いながらAはお墓を見ている。

「きっとお前にもそんな人がまた現れるよ。」

『うーん。どうだか。まだまだアイドルでいたいからいーや。』

そう言ってお花を片付け始める。

『ありがとね。付き合ってくれて。』

「あ、いや。大丈夫。亡くなった後に手を合わせていなかったから。来れてよかった。」

『自宅まで送るね。』

「この後飯でもいこーよ。」

そう誘ったらAは首を振る。

『ごめん。予定あるんだ。』

それって北斗？そう聞こうとしてやめた。

「そっか。」

そのまま自宅に送ってもらい、部屋に入る。
彼女との距離は縮まることはない。

「もう、想うのはやめようかな。」

そう独り言で話すけど、結局無理なんだよな。
俺は小さくため息をついた。