side YOU ページ21
風磨と別れた。という噂が広まってから、
一気に声をかけてもらうことが増えた。
飲み会に呼ばれることが多くなって。
みんな遠慮してたんだよねなんて笑ってる。
もちろん、飲めないから私は
ソフトドリンクなのだけど。
相手はお酒を飲むから酔っ払っていって。
そんな相手を見てると、だんだん醒めた
気持ちになる自分がいる。
下心のある人ばかりだけど、
毎日の寂しさを紛らわすにはちょうど良い。
幸いにも無理矢理ホテルになんてことはないから、
今のところは大丈夫だったりする。
今日も先輩と飲み会だった。
何人か呼んどくからなんて言われてたのに、
蓋を開けたら2人きりで。
そんなハイリスクなことしたくなくて、
時間もそこそこに帰ってきたところだった。
エントランスに入り、エレベーターに乗る。
ドアを閉めようとしたら、1人の人が乗ろうとしてきた。
『すみません。』
「あ、いえ。」
ドアを開けといたからお礼を言われる。
「何階ですか？」
『あ、えと同じなので大丈夫です。』
あ、そうなんだ。こんな若い人住んでたんだ。
日頃忙しいし、最近はなかなか帰ることが
できてなかったから、同世代の人がいるなんて
知らなかったな。
『、、、Aちゃん？』
「え？」
まさか、バレた？
ちゃんと変装はしてると思うんだけど。
『あの、永瀬です。』
「うそっ。永瀬？」
キャップを脱ぎ、顔を見せる。
まさかのキンプリの永瀬廉だった。
『同じところに住んでるなんて知らんかったです。』
「いや、私もびっくりした、、、。」
『しかも同じ階とか。すごいですね。』
「ほんとに。」
エレベーターがグーンと上がって、
目的の階に着く。2人で話しながら降りる。
「私部屋ここなんだ。」
『え。隣やん。』
「うそっ。」
『嘘やないです。俺、その奥ですもん。』
まさかの隣同士ってことに驚きしかない。
『あのっ。』
「ん？」
『この後暇です？部屋、行ってもいいですか？』
「、、、いいよ。」
目をきゅるきゅるさせてそんなお願いをされたら、
断ることなんてできない。
私は彼を部屋に招き入れた。
「ごめん。潔癖症なんだよね？使い捨てのスリッパないんだけど。」
『いや、さすがに大丈夫ですって。あれはテレビ用に大袈裟に言ってるだけですから。別に気になんないすよ。しかも、こんだけ綺麗な家やし。モデルルームみたいですやん。』
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作者名：しょこら | 作成日時：2024年2月28日 15時
