紅一点×SnowMan⑦ (ページ17)

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⭐︎ ページ17

北斗くんに言われるがまま、私はソファに座る。
携帯も見ることなくぼーっとしていたら、
肩を軽く叩かれた。

『できたよ。』

北斗くんに手を引かれてダイニングテーブルにつく。
そこにあったコップは片付けられていて、
替わりに和食がおいてある。

ああ。これで風磨のいた痕跡が
全て無くなっちゃったな。

目の前に美味しそうな食事があるのに、
そんなことしか考えられない私は相当参ってる。

『まずは食べよう。』

「うん。ありがとう。」

湯気が立っているご飯に手を伸ばす。
前もこんなことあったなぁ。

この人はいつも私が1番落ちている時に
こうやって気づいてくれる。

「美味しい。」

『そっか。よかった。』

そこまで話さない北斗くんと無言のまま食事を食べる。
あまり喉は通らないけど、残すのも嫌でなんとか食べ切る。

『全部食べれたね。』

「うん。久々かもしれない。こんなに食べたの。」

『でしょうね。あなた痩せすぎよ。』

そう言うと席を立って隣に座ってくる。
私の手首を掴むと優しく撫でてきた。

『手の細さ見てびっくりしたよ。明らかに食べてないの分かる。』

「そっか。」

てことはみんなも気づいているのかな。

『噂は聞いた。』

「うん。」

『あれは真実ってことでいいんだよね？』

「うん。」

『そっか。』

そう言うと元の席に戻る北斗くん。

「聞かないの？」

『聞いて欲しいの？』

まさかの質問返しをされるとは思わず、黙ってしまう。

『聞いて欲しいなら聞くし、聞かないほうがいいなら聞かないよ。』

「、、、なんで大人ってずるいんだろうね。」

全く話が繋がってないと思う。
けど、自分の中では繋がってる話だから。

『分からない。けど、所詮人間は欲にまみれた生物だよ。特にこの世界では、ね。』

「そっか。ただただ、好きだっただけなんだけどなぁ。」

そう言うと、
あの日以来流してなかった涙がこぼれてくる。

『泣いたほうがいいよ。自分の感情を溜めるのが1番しんどいでしょ。』

その言葉に更にポロポロと涙がこぼれてくる。
北斗くんは黙って私を抱きしめてくれた。

「自分の意思に反することをするのは、心が蝕まれる。」

『うん。』

「けど、こうするしかなかったんだ。」

『そっか。』

それから北斗くんは何も言わず、ただそばにいてくれた。