紅一点×SnowMan⑥ (ページ47)

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『それでね。母が骨の一部をこの天橋立の海に散骨したんだって。ここが日本に来て最初に2人でデートした思い出の地みたいだから。残りの骨はスウェーデンにあるみたいだけど。』

『てっきり、父に捨てられたと思っていたんだけどな。亡くなってるとは思わなかった。母はきっと昔から弱い人だったんだね。』

そう言って涙を流すA。
俺は黙って手を繋ぐことしかできない。

『ここに一枚だけ4人の写真が入っていたんだ。』

そう言って見せてくれたのは、
いままさに居るここにいる4人の写真だった。

お父さんは日系スウェーデン人ってことで、
日本人ぽさもありながらも海外の人って感じだ。
とてもカッコいい人であるし、お姉さんに似ている。

そして、お母さんがやっぱり美人だった。
Aにとても似ている。

そこに写る4人の家族写真は
とても幸せそうな家族写真で。間違いなく、
Aは家族に愛されていたことが分かる。

「幸せそうだな。」

『うん。ほんとに。どこでうちの家族は間違えたのだろう。』

そうぼそっと言った彼女の瞳からは生気は感じられない。
ほんと、このまま居なくなってしまいそう。

それからしばらく海を眺めていたけど、
突然Aは立ち上がって、
手紙をビリビリと破き始めた。

「えっ？」

『もう、うちの家族は無くなったから。これで私は1人だからさ。この手紙あったら辛くなりそう。写真は捨てられないけど。』

あとは住所とね。

そう言うと小さなカードを見せてくれる。
そこには海外の住所と電話番号が書いてある。

『これ、多分お父さんの実家だと思う。電話してもいいかな？』

「もちろん。した方がいいよ。」

そう言ったら、スマホをいじって電話している。

『Hello？』

英語できんのか！
Aの新たな一面に驚きながらも電話している。

しばらく話すと、スマホを耳から離して切った。