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『だよね。私も最初にラウちゃん見た時、似てるなとは思ってたけど、むっちゃんの本名をすぐ思い出せなくて、兄弟とは思ってなかったんだよね。』
「キッズダンサーだったから、あんなにダンスが上手いんですね。」
Aちゃんと一緒に仕事をするようになって、
ダンススキルの高さ、歌のうまさ、表情の作り方など
全てが完璧なアイドルだなと思った。
こんなすごい人と同じグループになれて
本当に嬉しかったのと同時に不安にもなったのは確かで。
特に先輩方やAちゃんを差し置いて
センターに立つことに恐怖しかない。
実際に昔からのファンの方に良く思われてないみたいで
SNSには色々と書かれている。
そんなことを考えていたから、
不安が顔に出ていたのだろう。
『ラウちゃん。』
「はい。どうしましたか？」
『ラウちゃんを知らない人間の声なんか気にする必要はないから。私達の言葉や態度を信じて。』
「、、、はい。」
真面目な仕事の話をしながら新幹線での時間を過ごす。
『ラウちゃん疲れてるしょ？寝ていいよ。』
「Aちゃんは寝ないんですか？」
『うん。私、公共交通機関では寝れないんだ。』
そう言って笑った顔がなんだか悲しげで。
だけど聞くのも違うかなと思って、僕は目を閉じた。
『ラウちゃん。もうすぐ着くよ。』
Aちゃんに肩を叩かれて起きる。
どうやらあと数分で京都に着くみたい。
なんだか緊張するなぁ。
『ラウちゃん。緊張してる？』
「あっ。はい。なんか歌舞伎をちゃんと見るのも初めてですし、今度は自分が立つんだと思うと緊張します。」
『ははっ。そうだよね。でも大丈夫。感動すると思うよ。』
そう言って笑いながらみんなで新幹線を降りる。
『あっ。ごめん。電話だ。先に向かってて。』
タクシー乗り場に向かう途中で、
Aちゃんがそう言って少し離れる。
僕は牧さんと一緒に歩いていた。
「あの。Aちゃんに着いて行かなくて大丈夫なんですか？」
牧『ええ。ああやって言う時はプライベートの電話なんです。その時は聞かないようにしてるので。』
そうなんだ。マネージャーとタレントって
距離の近いイメージがあったんだけど、
この人達は一定の距離を保ってるんだ。
しばらくしてAちゃんが戻ってくる。
『ごめんね。』
「いや、大丈夫です。それよりも大丈夫ですか？」
『え？』
「なんか目が赤くなってるから。」
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作者名：しょこら | 作成日時：2024年2月17日 14時
