紅一点×SnowMan③ (ページ35)

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side WATANABE ページ35

「どこ行く？多分今みんなが並んでるアトラクション結構時間かかると思うよ。」

100分待ちの看板を見ながらAに言う。

『そしたら、人魚のエリアに行きたいな。』

「ん。」

『ん？』

俺はAに手を差し出す。

Aは笑いながら手を繋いできた。
深澤と差別化するためにわざと恋人繋ぎをすれば
握り返してくれる。

最初のアトラクションは、
深澤がAと待機組だったんだけど。

まさかの移動する時にいきなり手を繋いでいて。
Aはこっちの方を見てなかったけど、
深澤は俺たちの方を見てニヤッとしていたんだよね。

あ、こいつ確信犯だ。
やってんなと思っていた。

だから俺も対抗してやろうと思って手を繋いでいる。
まじで子供みたいだけどな。

『ここね、結構好きなんだ。』

「来たことあんの？」

Aはこういうところに来ることは
なさそうだなって思ってたから意外だった。

『あー、一回だけね。』

その顔を見て、あっ、元彼だって思った。
顔が優しい顔してるし。

「元彼だろ。」

やばい、デリカシー無かったかな。
聞いてしまってすぐに後悔する。

『うん、そう。懐かしいよね。』

ほんとに懐かしそうに笑うAを見て、
思わず聞いてしまった。

「もう吹っ切れてるの？」

『そうだね。過去のことにはできたよ。』

「そっか。それは良かった、、、のか？」

『良かったと思う。彼は一生特別な人には変わりないけど。』

Aの特別な人か。
俺もそうなれたらいいのにな。

『シアター見に行こ。』

Aが俺の手を引いてシアターの方に向かう。
2人並んで座って、楽しく見ていた。

正直いつも来る時はアトラクションに乗ることを
優先していてこういうところには来なかったから新鮮だ。

「俺、これ初めて見たわ。」

『えっ？そうなの？』

「うん。普段きてもアトラクションにしか乗らないし。」

『なるほどね。でも楽しかったでしょ？』

そうやって笑うAの顔が可愛くて。
俺は照れ隠しのために額にデコピンをしていた。

Aの驚いた顔がおもしろくて笑うと
少しだけムスッとした顔をしている。

さらに笑っているとお返しとばかりに
Aが頬にキスをしてきた。

えっ。

思わず固まるとニヤリと笑って一言だけ。

『仕返し。』

「お前なぁ！」