紅一点×SnowMan③ (ページ25)

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2014年秋

無事に朝ドラの撮影を駆け抜けた。

受験勉強中から少しずつ始まっていた撮影も、
最終回放送の1週間前まで行われていて。

先月無事にクランクアップすることができた。

やはりみなさんベテランの方ばかりだから、
学ぶことも多かったし、余計なことをしてくる人も
一切居なくて。

初めて演技のお仕事の場が
居心地の良いものになっていた。

視聴率も結構良くて、年配の方にも
私の存在を知ってもらう機会が増えた。

もちろん、事務所の紅一点ってこともあって、
アンチの人も増えたけど、同じくらい
ファンですと言ってくれる人も増えた。

そんな状態なわけで、この秋というか、
半年間はドラマの撮影の仕事を控えて、
しばらく大学に集中させてもらうことにしている。

事務所でのレッスン、SnowManとしての活動、
あとは単発の映画の仕事のみで、
それ以外はプライベートに重きを置くことになっていて。

私がこの大学に通っていることは、
様々なリスクもあるから公表してないし、
普段は変装というか地味な大学生を演じてるから
バレてないと思う。

そんな平穏な学生生活を送っている中で、
目の前の男がそれを許してくれない。

田中『ねーえ。ご飯それだけ？それじゃお腹空くべ。』

「樹。あなたここの学生じゃないでしょーが。ご飯は外のものあんまり得意じゃないから食べないの。」

空きコマで少し遅めの昼食をカフェテリアでとっている。

学食はいつも人が多くて、身バレしたくないから
人の少ないカフェテリアの端っこが定位置だ。

いつもは自作のお弁当なんだけど、今日は時間がなくて
コンビニのおにぎりとサラダを食べている。

樹も同じくコンビニのお弁当を食べている。
細いのによく食べますね。

田中樹。同じくJr.で同級生。正直最初は
そんなに絡みもなかったんだけど、ある時から懐かれた。

きっかけは私も覚えている。

彼のお兄さんが退所することになって、
それも理由が理由だったから
徐々に彼の周りには人がいなくなっていた。

私はそんな風に、家族が理由で離れていく人間が
一番嫌いだったし、くだらないと思っていて。