【完結】パン屋×King & Prince【前編】 (ページ8)

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side NAGASE ページ8

あれから相変わらず仕事は忙しい。
休みない毎日にまた心も疲れる。

そんな時に思い出すのはあの日本家屋のパン屋やった。
ああ、また食べたいんやけどなぁ。

そしたら一つ仕事がバラシになったことで時間ができた。
いつもなら玉森くんに声を掛けてご飯連れて行ってもらったりするが、今日は無性にあのパン屋に行きたくなった。

前より早いし開いてるだろうと思い、前の記憶を頼りに歩くが、看板が出ていない。

あれ、今日金曜日やんな？
気になって中に入ると奥の方がうっすら明るくなっていた。

コンコン。

ドアを叩くとしばらくしてドアが開いた。
前の時とは違いラフな髪型にエプロン。

あ、休みやったんか。

「休みでした？それやったらすみません、また来ます。」

『いや、あの。営業はしていたんですけど、もうパンが売り切れてしまって。なのでお店は閉めていたんです。夕食を作っていて。。。』

申し訳なさそうに眉を下げる彼女が何故か可愛く見えた。
そしてなんだかとても美味しそうな匂いがした。

ぐー。

匂いに釣られる様にお腹がなった。
今日朝からほぼ食べてなかったんやった。

恥っず。
顔の赤い僕を見て彼女がクスクス笑う。

『よかったらもう少しでキッシュが焼き上がるんです。1人では食べきれないので食べて行かれますか？』

本来なら断るべきやけど、パンを食べれなかった悲しみのタイミングでこのお誘い。匂い。

うん、食べよう。

「いいんですか。実は朝から食べてへんくて、、、。あ！お金は払いますんで！」

『ふふっ。大丈夫ですよ。私の夕食ですから。お気になさらず。よかったら席にお掛けください。』

笑顔で店内に招き入れてくれる彼女を見て何だか心配になってきた。これ誰にでもするんかな、、、。

『お仕事終わりですか？』

「そうですね！今日はよ終わったんです。」

やっぱり彼女は僕を知らん様子やな。
今はキンプリの永瀬ではなく、1人の永瀬廉として楽しもう。

席に座って数分後、綺麗に盛り付けされたプレートが出てきた。

「うわっ！うまそう！」

『今日は本当たまたまです。時間ができたのでコースっぽくして楽しもうと思ったんです。』

プレートと共にワインを持って来た彼女。さすがフランスやな。