【完結】パン屋×King & Prince【前編】 (ページ6)

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お気に入りの豆をひいてカフェ・オ・レを作り、バケットを軽くトーストして彼の前に出す。

『いただきます。』

被っていたキャップとサングラスを外す。雰囲気的にあまり顔を見てはいけないのかなと思い、彼を横目に閉店作業を始めた。

『！！！うまい！！！』

疲れ切った様子の彼が初めて笑う。
笑顔に思わずドキッとした。

ちゃんと彼の顔を見るととても綺麗な方だった。
なんだろう、普通はかっこいいなんだろうけど、彼は綺麗が似合う様な気がした。

「ふふっ。ありがとうございます。」

久々にこの顔を見た。
美味しいものを食べて幸せですという顔。

この顔を見ることができるから私はパンの世界から足を洗うことはできないんだ。そう実感する。

おかわりも完食したあとに申し訳なさそうな顔をする。
聞くと、支払いがとのことだったが、私の方こそ美味しいの顔を見ることができて幸せをもらえた。

その後、彼と軽く雑談していたが、着信を知らせるバイブ音が聞こえ、どうやら何かの仕事の合間に来たらしい。
また来ますと来た時とは真逆の笑顔を見せて退店した。

明日からも頑張ろう。そう思わせてくれる出来事だった。