side NAGASE ページ39
Aちゃんのあんな顔初めて見たな。
スタジオに向かうタクシーの中で俺は昨日の考えていた。
遅い時間やったからか、お店のテーブルで話していた2人。
相手の顔をまじまじと見たわけではないけど、
身長や雰囲気からかなりのイケメンっぽかった。
あまり聞こえへんかったけど、
聞き馴染みのない言語で会話をしていたのでおそらく
フランス語で話していたんやろう。
てことは、フランスの時の知り合いなんかな？
10分程度話していて戻ってきたカスミちゃんは
ひどく疲れた顔をしていた。
気にならんって言ったら嘘になるんやけど、
今は聞くよりも落ち着かせることが優先な気がして、
膝の上にのせて抱きしめた。
しばらくしたら落ち着いたみたいで、
ありがとうと言うと膝から降りた。
それからは、いつも通りのAちゃんだった。
どんな関係なん？
なんであんなに疲れた顔してたん？
聞きたかったけど、
聞けぬまま次の日になってしまった感じだった。
いってらっしゃいと送り出してくれるカスミちゃんは
いつも通りで。落ち着いたら聞こう。そう思った。
今日はキンプリでスタジオでの収録後、
雑誌の撮影を1本行って、最後はFC向けの動画撮影と
打ち合わせを事務所で行う。
相変わらずスケジュール間隔が変なんよなー。
事務所前について海人とマネと降りて建物に
入ろうとしたら、見覚えのあるシルエットがそこにあった。
『永瀬さん高橋さん後ろに下がってください。』
マネが不審者だと思ったらしく俺らの前に立つ。
「大丈夫やで、多分知り合いやから。」
マネと海人に先に入ってもらい、その人物に近づく。
「こんばんは。僕宛の用事ってことでいいですか。」
『あ、永瀬さんですね。合ってます。僕はこういう者です。』
見た目は完全に外国人やけど、流暢な日本語が
返ってきた。この人日本語いけるんや。
差し出された名刺には
コンサルタント マシュー J ランベール
と書いてある。
「コンサルタント、、、。」
『ええ。Aと共に去年までフランスで一緒に働いてました。』
「え、でもAちゃんは飲食店でパン職人してはったんですよね？」
『はい、確かにそうですけど、、、。知らないんですか？彼女の働いていた店。』
「いえ、そこまでは。」
『信じられない。A ベルナール PTで調べてみてください。それから、』
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作者名：しょこら | 作成日時：2023年12月6日 12時
