【完結】パン屋×King & Prince【前編】 (ページ4)

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『ふふっ。ありがとうございます。』

掃除をする手を止めて彼女が微笑む。

やっぱ俺のこと知らん人みたいやな、、、。
赤坂で働いとるのに。

『お口にあって良かったです。』

「ほんまに美味しいです。今まで食べたパンの中でもダントツです。」

そこから手が止まらず、あっという間に完食してしまった。

『まだありますが、食べますか？』

「ほんまですか⁈ください！」

おかわりまでしっかりと完食してしまった。
食べてから気づく、俺お金ないんやった、、、。

「美味しかったです！でも、お金もないのにおかわりまでほんまにすみません。後日お金持ってきますんで。」

『大丈夫ですよ。もうお店には出さないものでしたし。美味しそうに食べていただけたので、それだけで嬉しいです。』

「いや、ほんまに、、、。美味しかったです。ここにお店あるん知らんくて。たまたま入ったらあったんで。」

『最近オープンしたんです。昔は祖母が喫茶店をしていたのですが、昨年亡くなったので。最近装いを少し変えてパン屋をオープンさせたので、知らなくて当然だと思いますよ。』

そうやったんか。

それから、彼女は簡単に教えてくれた。

やっぱり、青色の瞳はフランスの血が入っているとのことだった。父親がフランス人で母が日本人。

母方の祖母の家はここで、かつては喫茶店をしていたとのこと。生まれてからずっとフランスに住んでいて、祖母の死をきっかけに日本に来たとのことだ。

どうりて、俺を知らんわけや。

「じゃああの店名もフランス語？」

『そうです。日本語で小さな家って意味なんですよ。』

「ここの雰囲気にぴったりですね。」

『ですよね。小さい頃からずっとそう呼んでいたので。周りの外観に合わないんですけどね。』

「いやいや、なんか落ち着きます。」

そう言ったところでLINEの着信を知らせるバイブ音が鳴った。海人だ。マネとの喧嘩を聞いたんか。

「あっ、、。そろそろ戻らな。ほんまにご馳走さまでした。また来ます。」

『ぜひ、お越しください。』

「お店は毎日開いてます？」

『いや、私が製造もしてるから月水金しか開けてないんです。店休日はパン作りをしているので。』

「そうやったんですね。また来ます！」

そう言うと彼女は微笑んで手を振ってくれた。その姿にドキッとする。店の場所をしっかりと記憶して、事務所に戻った。

あ、名前聞くの忘れた。