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ああ、緊張してきた。
事務所からAさんの家までは歩いても10分ほど。
この距離もあるからつい来てしまうねんなー。
いつもの細い路地に差し掛かる頃、一台の車が通り過ぎた。
あれ？あの車紫耀のに似てんな。
まあ、ここを走るわけないか。
この時はまさかそれが、本当に紫耀だとは思ってもいなかった。そして、俺たちのこれからの関係に大きく影響することも。
ピンポーン。
少しレトロな音のするインターフォンを押す。
『はーい、今開けますね。』
日本家屋には似つかわしくない最新のインターフォン。
女性の1人暮らしだからとセキュリティだけはしっかりとするようにしたらしい。
何気にセコムも入ってるし。
「やほ、Aちゃん。あれ？今帰ってきたとこなん？」
『そうなの。ちょうど帰宅したところでまだ何も夕食とか準備できてないんだけど、、、。夜はケータリングで作った分の残り物でもいいかな？』
そう言ってパタパタと廊下を走るAちゃん。
なんか普段は綺麗な人なのに時々仕草とか動作に幼さがあって、、、。ほんまに可愛いよな。
料理はできないからいつもソファに座って待っている。
10分程度で呼ばれた。
『廉くんできたよ！お待たせ！』
「いやいや、全然待ってへん。てかこれほんまに今準備したん？やば。」
ダイニングテーブルを見ると、色とりどりのパンとおつまみ、スープなど10分程で準備したとは思えないほどのものだった。
『冷蔵庫にあったもの出しただけだよ。ケータリング作るの久々だったから少し張り切っちゃったんだよね。』
Aちゃんはそう言うと、笑いながら飲み物の準備をしてくれる。
『廉くんは今日何かお酒とか飲む？あんまり種類はないんだけど、、、。』
「いや、今日はええわ。」
『そう？そしたら炭酸水でいいかな？』
前回酔って寝てしまったこともあるし、今日は飲んだらあかん。
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作者名：しょこら | 作成日時：2023年12月6日 12時
