【完結】パン屋×King & Prince【前編】 (ページ20)

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滝『Aちゃん！乗せてきておいて申し訳ないんだけど、ちょっと今から手が離せなさそうで。帰りはタクシーで帰ってくれる？これ今日の代金とタクシー代。』

そう言って封筒を渡される。

「分かりました。でも、タクシー代は大丈夫です。電車で帰るので。」

滝『いや、それはダメだよ。暗くなってきたし。いーのいーの。ここまで来てくれたお礼。』

滝沢さんは私にそう言うと他の方と難しい顔で話を始めてしまった。

そこに割り込む勇気もなく、ケータリングを食べる皆さんに挨拶をして、帰るためにエレベーターに向かって歩いた。

平『あの！送ります！』

エレベーターを待っていると紫耀さんが声を掛けてきた。

平『ちょうど僕の打ち合わせは終わったところなので、時間あるんです。あ！僕平野紫耀って言います！知ってますかね、、、？』

「すみません、どこかでお会いしたことありますか？」

平『いやっ、、、！ジンの言ってた通りか。ちょっとテレビとかに出る仕事をしているので、知ってるかなと思いまして。』

「すみません、私あんまりテレビとか見ないので疎くて、、、。」

平『全然！全然すよ！むしろその方がありがたいというか、、、。とにかく、もう暗いので良かったら僕の車に乗ってください！』

ちょうどエレベーターも来たところで地下のボタンを押してくれる。ここまで来ていただいて断るのも変な話だよね。お言葉に甘えることにした。

地下の駐車場に着くと、これまた有名な高級車のドアを開ける。

平野さんっておそらく私より若いのにすごいお方なんだ。知らなかったことに申し訳なさを感じる。

『乗ってください！』

後部座席のドアを開けようとすると、止められた。

『いやいや、2人だし、助手席に座ってくださいよー。じゃないとさみしいじゃないですか！』

ねっ！と笑顔で助手席を指さす平野さん。
その人懐っこい笑顔につられて助手席に座った。

そこから帰り道は快適だった。
運転が好きなんだろうなと感じる乗り心地で。
話もおもしろくて帰路があっという間だった。

「ありがとうございました。助かりました。」

『いやいや、全然ですよ！ここにお店があるんですね。この辺よく来てたのに知らなかったー。今度は僕が買いに来ます！じゃあまた！』

そう言って颯爽と帰っていった。
なんだか、面白い人だな。

まさか、この出会いが後に私と廉くんの関係に大きく影響するなんてこの時は思ってもいなかった。