【完結】パン屋×King & Prince【前編】 (ページ2)

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side NAGASE ページ2

2023年秋。

俺は少し疲れているみたいだ。

3人が脱退してからは怒涛の毎日やった。
OFFもなく仕事仕事仕事、、、。
望んでいたことやったはずなのに。

疲れがピークに達した時、些細なことでマネと言い合いになり、思わず俺は打ち合わせをしていた事務所を飛び出した。

夜の赤坂は人もまばらで、行くあてもなくふらふらと歩いていたら、ふとビル街にそぐわない一軒家が現れた。

事務所に入って長いのに、ここに日本家屋があるなんて気づかんかった。

まあ、通りから中に入ったところにあって、よほどこの辺りを熟知してないと見つけられないようなところにあったんやけど。

ふと見ると小さく看板がある。

《petite maison》

何語やろ。英語ではなさそうやな。
ふらっと気になって矢印に沿って歩いてみた。

、、、パン屋？
この日本家屋に？

やってるかやってないか分からないくらいの明かりやったがなんとなく気になって入ってみた。

『こんばんは。すみません、来ていただいたところ申し訳ないんですけど、もう売れてしまってほとんどないんです。』

中にいたのは女の人やった。

背はすらっとしていて、街を歩いていたら誰もが振り返るであろう美人。エプロンをして、日本家屋にはあまり似つかわしくない青色の瞳やった。

ハーフ？でも、どこか素朴な感じがあり、この景色に馴染んではいる。

おそらく、同世代だろう。知っていたらどないしよう。
警戒丸出しでキャップを深く被る。

「いえ、、、。気になって入っただけなので。」

『もし、よかったらこのパンならありますが。』

指差す先にはフランスパンにドライフルーツが入ったものがあった。

「じゃあ、それを下さい。」

そこまで言って、カバンを持たず、携帯だけ引っ掴んで出てきたことに気づく。