【完結】パン屋×King & Prince【前編】 (ページ1)

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side YOU ページ1

2022年夏。

それは突然の知らせだった。

「え、、。佐江さんが、、？」

マシューと次の商品の打ち合わせをしていた頃、祖母の逝去の知らせが入ってきた。

『どうしたの。A？』

『祖母が亡くなったみたい。ごめん、新商品のアイデア、すぐ完成させるから。そのあと日本に行くわ。』

スケッチブックとパソコンに書いたアイデアを大急ぎで完成させるとマシューに渡し、日本行きの航空券を取得して急いで帰国した。

コロナ禍もあり、8年ほど見てなかった祖母は記憶の祖母とそのまんまで。

彼女には時が流れてないのかと思うほどだった。
唯一違うのは優しい声でAと呼んでくれないことだけだ。

そこからは、怒涛だった。

彼女の近しい親族は私だけで、葬式から相続まで全て私がすることになった。その中でこれからのことを考えた時、一度人生を止めてみたくなった。

誰も知らないところで、ゆっくりと生きてみたい。
パリで走り続けた分、少し休みたかった。

マシューには申し訳なかったが、仕事を辞めることを伝え、パリでの住居は私のものは処分してくれと言い、別れてきた。

彼には止められたし、別れたくないと言われた。

ビジネスパートナーであり恋人ではあったが、高みを目指す彼と今の私のマインドは合わない気がした。