盲目の中で恋をする。【いのちね】 (ページ5)

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｢お待たせ。まった？伊野尾くん｣

｢おう、くそまった。｣

｢それは申し訳ないな～｣

そう言ってへらへらと俺の冗談を華麗に交わしながら話しかけてきた高木雄也。
数少ない俺の友人だ。
こいつとは聞いている音楽が共通することで知り合った。
今日もそのバンドのシングルが出るという情報を聞き発売日翌日に予約していたのを受け取りに行く約束をしていた。

｢じゃ、行こっか。腕、掴む？｣
｢うん。ＣＤ俺の分も面倒臭いから貰って。｣

｢はいはい｣と俺の手を優しく掴んで自分の左腕に乗せた。

無事にＣＤを買えて、さぁどっちの家で聞くかと言う話を歩きながら議論を進めていくと左側の方からほんの僅かな音量で人の声が聞こえた。

｢……～ｯ!…ﾔﾒ……ﾔﾀﾞｯ!｣

その声にビクンっと反応した。

｢ちねん？｣
｢どうしたの？｣

いきなり止まった俺に高木が問いかける。

あれは間違いなく知念の声だった。
毎日聞いている跳ねるような声。その声を俺が聞き逃すはずがなかった。

｢たかぎっ！｣

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雄也くんの"たか"の文字は文字化け防止のため高木と表示させて頂いてます。