Pray【登坂広臣】

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見た目で損してきた人生だと思う。




『俺に気が合って話しかけてきたんじゃねーのかよ、きめーわ。』







それはお前が勝手に勘違いしただけ。私は聞こえたゲームの話題が気になって話し掛けただけ。








『春田さんって人の事見下してます？そんな澄ました顔してさ…たまには後輩も可愛がってあげたら？』






大人になれば周りも価値観が変わって多少なりともマシな人生を歩める予定だった。


全く子供の時から変わらない周りの自分への評価





仕事をする事とお酒と、それからスマホゲーム。







この三つで私、春田Aは成り立っていると言っても過言ではない。彼氏どころか友達はいない。



一人で入社したから同期と言える同期は居ない。歳の近い子も何故か一線を置いてくる。




見た目で損しているというのは、悪い意味ではなく、個人的な感想であって人を馬鹿にしているわけではない。



そりゃエステとか美容室とか社会人として当たり前な最低限の身支度をしてたら親が作り上げてくれた自慢の顔やスタイルは磨かれる。




それを周りの人間は『見下してる』と評価する。
自分が美人だからって能力や見た目が下の人間を馬鹿にしてるだなんて噂を流すの。





もう20代後半だとか30代だとかいい歳の女ばかりの会社なのに頭の中は小学生のままのよう。







確かに自分が綺麗だとか可愛いとかだと感じる事が多いぐらいには私は自分を愛している。







私はただ、自分のするべきことをしてそれを私として受け入れてくれる友達が欲しかっただけなのに。



だけど、





「春田さん今夜暇？飲みにいかない？」







それに私はこんな顔の整った男の知り合いではない。

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