Snr ページ8
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Aは良いところの家の令嬢だった、それに対して俺はただの一般人。所詮身分差の恋というところだ。
けれどその幸せも長く続くものではなくて。良いところの家の娘は良いところの家の息子と結婚する。そんな法律なんて、決まりなんて無いのに長い日本の歴史はそれを肯定していた。
一般的な家庭に生まれても幸せだったのだ。だから自分のことを不幸だなんて思ったことは無かった。が、Aに縁談の話が持ち掛けられたと耳にした時、自分が一般家庭の生まれであることを酷く憎んだ。憎んだところで変わるものでは無いのに。
Aは頑なに縁談を受けようとはしなかった。当たり前だ、俺とAは本当に愛し合っているのだから良い家だからと他の男にホイホイ嫁ぐような真似はしない。
けれど、ふとこのままで良いのかと思った。自分との結婚は一生叶うことは無ければ、満足な暮らしを送らせてあげることなんて出来ない。普段からポジティブである自分が彼女のことでこんなにネガティブになるとは思わず失笑する。
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「A、別れよか」
『どうして…！？私は嫌よ、縁談も受けないしセンラとずっと一緒に居たい』
「俺やと幸せにしてやれん、ごめんな」
『あんまりよ…幸せなんて人それぞれの定義じゃない。私はセンラと居られるだけで十分幸せよ』
「A、」
『っ…』
「愛しとるよ」
彼女は目を見開いた後俯いた。『こんな別れの告げ方、あんまりよ…馬鹿』と肩を震わせながら言う彼女に触れる資格は俺にはもうない。
さよならよりかいいと思ってだなんて口にはしない。
今生涯がAにとって少しでも幸せなものになりますように。
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mi(まい)(プロフ) - 林です。嘘です。さん» 切ないお話を書きなれてないのでそう言って貰えて凄く嬉しいです、ありがとうございます( ;_; )！ (2020年5月26日 17時) (
レス) id: 0f8661bfd1 (このIDを非表示/違反報告)
林です。嘘です。 - 3番目の切ない感じが好きです！ バッドエンドとかが少し好きなので、私の好みでグッときました。 (2020年5月25日 2時) (レス) id: aa4022e14b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mi(まい) | 作者ホームページ：http://twitter.com/muikrn
作成日時：2020年5月23日 3時
