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そんな事を彼に全部話しながら私は名前を思い出そうと思考を巡らせる
なんだっけ、確か最近も聞いたと思うんだけど
うーん
なんて声を出しながら思い出そうとする私を北川さんは身じろぎもせず真っすぐに見つめてくるから少し恥ずかしくて居心地が悪い

「…忘れちゃいました
確か…お菓子の名前みたいな感じだったと思うんですけど」

「っ、そ、そう…なんだ」

また姉に聞いておきます
にっこり笑顔を作って北川さんにそう告げた私は、私の言葉に体ごとぴくりとしたその反応に気付かなかった
そして私は当然浮かんだ疑問を彼へ

「北川さんも動画、見るんですか?」

結構な食いつきに
おそらく彼もそれを知っていたり、もしくは見ているのかもしれない
そう思って軽く聞く
すると、北川さんは目を泳がせて私から完全に視線を外した

その様子はあからさまにおかしくて

「…?北川さん?」

「ん…いや、あの」

ははは、なんて乾いた笑い
それは必死に思考を巡らせて言葉を探しているような
疑問をぶつけるように彼の名前を呼べば

はっ、と一度止まって
また私に向き直って

「あ、ほら、名前!
まだ名字のままだよ」

指を差しながら言われたそれは唐突だったけど
何気ない会話の彼のこの態度
深く聞くのはやめておこう
私の考えはそのまま変わらなかった

だけどその言葉に今度は私が焦る

「や、あの…お友達は、とても有難いんですけど…」

「ん?」

その理由は明確
恥ずかしいのも立派な理由だけど
彼の恋人への配慮もあった
友達になってほしいなんて言った時点で配慮も何にもないんだけど
それでもこんなにも引け目があるのは、私の中で名前は特別な物なのかもしれない

だから、

「彼女さんに、申し訳ないなって…」

そのままを真っすぐ伝える
それを肯定される事はとても辛い事なんだけど
言わざるを得ないだろう
そう判断して、私は眉を下げて俯く

あーきっと私は今から落ち込む事になる

覚悟を決める
けど、

「…ん?彼女?」

「え、」

「…いないけど」

その予想外の反応に私はぱっと顔をあげた
彼はきょとんと目を丸くして、頭にはてなまーくを浮かべながら私を見ていた

…いない?

「え、あの、手を繋いで…歩いてましたよね?」

泣いている彼女の手を彼が引いていた
私はそれをはっきりと見ている

だからそれを伝えて
あれが恋人同士でなくなんだというんだ

そんな風に思いながら私も彼と似たような表情をしながら聞くと

「あー…」

思い出したかのよう
そんな風に声を漏らして

そして少し切なそうに目を細めた

その顔はとても切なく綺麗で、見惚れてしまう

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ももた(プロフ) - ぴょんさん» ありがとうございます!ちょっとバタバタしてしまって停滞気味ですが、もう結末までストーリーは考え終えていますので、頑張って書いていきますね(^^) (2017年6月6日 0時) (レス) id: f1aa9eefcc (このIDを非表示/違反報告)
ぴょん - 続きがとても楽しみです!頑張ってください!応援してます! (2017年6月4日 2時) (レス) id: ff860ae17d (このIDを非表示/違反報告)
ももた(プロフ) - べにべにさん» 遅くなりました!こういうコメントのおかげで書き続けられます!本当にありがとうございます(^^) (2017年5月23日 22時) (レス) id: f1aa9eefcc (このIDを非表示/違反報告)
べにべに - 待ってます更新!!続きが楽しみです! (2017年5月21日 13時) (レス) id: 2e57339124 (このIDを非表示/違反報告)
マホlove - ありがとうございます!わざわざ調べていただいて。無事見れました!本当にありがとうございました!!!! (2017年5月19日 23時) (レス) id: 22d20cf1e3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ももた | 作成日時:2017年4月8日 1時

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