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「…たい、が」
その呟きは音になっていたのかすら怪しい
声が掠れて上手く出せなかった
後から思えば出せなくてよかったけど
鼓動が急激に速くなる
きゅっと首を絞められているかのように、苦しい
だってそんな筈ないって
何かの間違いだって
いくら自分に言い聞かせても、歓声をあびているあの人は間違いなく大雅、その人だった
「なんで、」
見間違いなんて言い訳はできない
それくらいには距離が近くて
マスクをしていたってさすがにわかるから
そして私は思い出していた
あの日
大雅に助けられて、大雅を家に呼んだ日
そして雷の夜
彼の様子はあからさまにおかしかった
ゲームとか、動画への食いつきも
…ポッキーさんの実写動画を見ようとした、あの瞬間も
(あの時も、あの時も、全部、本人…だから)
何それ
そんなの私、とんでもなく恥ずかしいじゃん
本人なのに、知った風な口で進めてしまった
それはそれは恥ずかしい
だけど、
「ッ…ぅ」
俯いて、口元を抑える
何とか声だけは抑えようと思って
じわりと滲む視界から零れ落ちたそれは足元を濡らした
泣いている
だけどそれは恥ずかしいとかそんなんじゃなくて
舞台の上で繰り広げられるトークとかゲームとか
彼はそこで、笑っていた
久しぶりに見た大雅の姿に
私は込み上げてくる恋心を痛感させられていた
気付かれない様にと必死で拭いながら堪えようとする
どうして、こんなにも溢れてくるの
諦めたとか
何の感情も出てこないとか
(うそばっかり)
こんなにも止まらないのに
好きが、溢れて、たまらない
辛い、悲しい、苦しい
だって
「…遠すぎでしょ」
自嘲するように口角があがる
舞台と、そして周りを見渡して強く自覚した
私を拒絶したあの人は、こんなに遠い存在だった、なんて
追い打ちをかけるかのような現実がどんどん私の心を抉りにくる
あぁ、どうしよう、耐えられない
みんなが彼を見ているのに、私は視界がぼやけてその姿を捉える事すら出来ないなんて
結局そういう事
理解しなくちゃいけない、受け入れなくきゃいけない
生きる世界が違うんだって
そんな考えが、好きだと思う感情を全力で否定してくる
それがこんなに辛い事だなんて、知りたくなかった
だけど、この奇跡的な絶望的状況は本当に残酷で
時間は待ってはくれない
「それじゃ、この後交流会するから」
楽しみだね
なんて告げられたそれは、握手会の事で
聞いていた、知っていた
でも待って状況が違う
そんな事、出来る訳がないのに
流されるままに進んでいくイベントに
頭の中は答えのでない焦りでいっぱいだった
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ももた(プロフ) - ぴょんさん» ありがとうございます！ちょっとバタバタしてしまって停滞気味ですが、もう結末までストーリーは考え終えていますので、頑張って書いていきますね(＾＾) (2017年6月6日 0時) (
レス) id: f1aa9eefcc (このIDを非表示/違反報告)
ぴょん - 続きがとても楽しみです！頑張ってください！応援してます！ (2017年6月4日 2時) (レス) id: ff860ae17d (このIDを非表示/違反報告)
ももた(プロフ) - べにべにさん» 遅くなりました！こういうコメントのおかげで書き続けられます！本当にありがとうございます(＾＾) (2017年5月23日 22時) (レス) id: f1aa9eefcc (このIDを非表示/違反報告)
べにべに - 待ってます更新！！続きが楽しみです！ (2017年5月21日 13時) (レス) id: 2e57339124 (このIDを非表示/違反報告)
マホlove - ありがとうございます！わざわざ調べていただいて。無事見れました！本当にありがとうございました！！！！ (2017年5月19日 23時) (レス) id: 22d20cf1e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ももた | 作成日時：2017年4月8日 1時
