３８ ページ38
初対面の、それもとんでもない姿を見せてしまった人
よく見れば袖からたまに覗くその腕には恐らくタトゥーがはいっている
そして歯に衣着せない言葉選び
…そんな人に１から１０まで丁寧に話し始めた私
助けてもらった、お礼を言うべき立場なのに
それでも彼の言葉に甘えて、縋っている
事の経緯を話せばまた涙は溢れてくる
だけど彼はそんなものまるで気にする様子もなく、自然に相槌をうちながら聞いてくれる
それはとても話しやすかった
「なるほどね」
大雅との事を話し終えて、彼が最初に発したのがそれだった
勢いよく捲し立ててそしてまた泣いてしまっているのにそれは至って冷静で
聞きおえた彼は背もたれにその体を預けながら
「それはきっぱり諦めた方がいいんじゃね？」
「な…」
冷たく、投げられる
あまり真剣に聞いてくれるからその言葉はとても意外で驚いてしまった
と、同時に少し不快に感じた
なんでそんな事言われなくちゃいけないの、なんて
助けてもらったうえに縋るように話していながら本当に勝手だけど
そんな思いは思い切り顔に出ていたんだろう
彼は私を見て、口角をあげた
「って、思えねぇなら頑張れば」
「…がんばる？」
「別に諦めなくてもいいんじゃない」
１回フラれたくらいで
なんてさらりと言われた
諦めない。そんな選択肢が自分の中になかっただけに容易に飲み込めなかった
だからオウム返しで固まってしまうと「ストーカーにさえならなきゃいんじゃね」なんて
まぁ無責任な、だけど心強い、そんなアドバイス
すると彼は私を指さしながら
「いつまでもうじうじ泣いてるだけで何もしない奴より
俺はそっちの方が、好き」
なんて、泣きっぱなしの私に皮肉を込めて
からかうように悪戯に笑った
だから
「…別に貴方に好かれても意味ないです」
「うーわ、そんな事言っちゃう？」
可愛くねぇ女
なんて、文句を言いながら微笑むから
口が悪い、だけど根本的に優しい人なんだなっていろんな印象を改める
私も思わず口角をあげてしまう
「でも、ありがとうございます」
聞いてくれて
そして気付く
「おかげで涙もとまりました」
いろいろ考えているうちに、涙はとまっていた
油断すれば溢れてしまいそうだけど
でも、大丈夫、我慢できる
どうすればいいかなんてまだわからないけど
諦めなくていい、その言葉は間違いなく私の心を救っている
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 94人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ももた(プロフ) - ぴょんさん» ありがとうございます！ちょっとバタバタしてしまって停滞気味ですが、もう結末までストーリーは考え終えていますので、頑張って書いていきますね(＾＾) (2017年6月6日 0時) (
レス) id: f1aa9eefcc (このIDを非表示/違反報告)
ぴょん - 続きがとても楽しみです！頑張ってください！応援してます！ (2017年6月4日 2時) (レス) id: ff860ae17d (このIDを非表示/違反報告)
ももた(プロフ) - べにべにさん» 遅くなりました！こういうコメントのおかげで書き続けられます！本当にありがとうございます(＾＾) (2017年5月23日 22時) (レス) id: f1aa9eefcc (このIDを非表示/違反報告)
べにべに - 待ってます更新！！続きが楽しみです！ (2017年5月21日 13時) (レス) id: 2e57339124 (このIDを非表示/違反報告)
マホlove - ありがとうございます！わざわざ調べていただいて。無事見れました！本当にありがとうございました！！！！ (2017年5月19日 23時) (レス) id: 22d20cf1e3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ももた | 作成日時：2017年4月8日 1時
