検索窓
今日:19 hit、昨日:3 hit、合計:43,127 hit

34 ページ34

たぶん走っていた
心臓があり得ない程早くて、動揺を伝えている
息苦しさを感じながら鍵を開けて家の中へ

後ろ手に鍵をかけて


「…はぁ」


溜息を吐きながら乱れつつある呼吸を整える
驚いて、どうすればいいかわからなくなった
で、逃げた


「…女子か」


告白されて逃げるなんて
スマートじゃない、かっこ悪い

気付いていた、Aちゃんからの好意なんてとっくに

知っていて、それでも何も考えずに一緒にいた
お礼がしたい気持ちに嘘はなかった
だけどそれだけじゃない気持ちにも薄々感付いていて

たぶん純粋に楽しんでいた、だから俺は時間を見つけては一緒にいたんだろう
そんな自分に気付きながら目を逸らして

Aちゃんはとてもいい子だと思う
一緒にいればいる程素敵だなぁなんて柄にもなく思っていたんだ

だったらどうして?なんて
その答えは単純、好きだと思っていないから
恋人同士になるだなんて想像もしていなくて
彼女と俺で気持ちの差が激しすぎる
だから俺は、


「…違う」


そうじゃない、やめよう
そんな保身のための言い訳を並べて
自分自身すら騙して、罪悪感から逃れようとするなんて

わかってる、わかってるでしょ、俺

Aちゃんの本当に突然だった告白に驚いたのは本当で
俺を見つめる彼女の視線に囚われて逸らす事が出来なかった
赤い顔で、切なそうに眉を下げて見つめてくるその顔に引き寄せられて
…本当に危なかった、あの時は

彼女の熱に同じように浮かされて
まさか…キス、してしまいそうだったなんて


「あり得ない」


だって頬に添えてしまいそうだった手は、固まっていた体を動かした瞬間に
信じられないけど


俺の頭の中をよぎったのは、泣きながら彼の事が好きだというあの子の姿だった


自分自身に驚きすぎて
あの時俺の思考はもうまともな事を考えられなくて
そんな顔、見られたくない
だから慌てて彼女の視線を隠して、そして逃げた

最低すぎる、クズすぎる

Aちゃんにあの子の事を重ねて見えて
あぁ、俺ってそんな人間だったんだななんて嫌気がさした
何を言ったって、何を思ったって
俺の中にはまだあの子がいるのなら、それを利用するようなまねは出来ない

…だってそれは俺が経験してきた事で
Aちゃんにそんな思いしてほしくないし
こんな俺に時間を割くべきじゃない


何より自分自身の女々しさ、未練がましさに落ち込んだ


「本当…だめだぁ」


玄関に背中をつけてずるずると落ちていく
俯きながらあぁどうしようなんて頭を掻いて

困った、本当に

この後に取るべき行動の正解をひたすらに探していた

35→←33



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (46 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
94人がお気に入り
設定タグ:ポッキー , 実況者 , pocky_sweets
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ももた(プロフ) - ぴょんさん» ありがとうございます!ちょっとバタバタしてしまって停滞気味ですが、もう結末までストーリーは考え終えていますので、頑張って書いていきますね(^^) (2017年6月6日 0時) (レス) id: f1aa9eefcc (このIDを非表示/違反報告)
ぴょん - 続きがとても楽しみです!頑張ってください!応援してます! (2017年6月4日 2時) (レス) id: ff860ae17d (このIDを非表示/違反報告)
ももた(プロフ) - べにべにさん» 遅くなりました!こういうコメントのおかげで書き続けられます!本当にありがとうございます(^^) (2017年5月23日 22時) (レス) id: f1aa9eefcc (このIDを非表示/違反報告)
べにべに - 待ってます更新!!続きが楽しみです! (2017年5月21日 13時) (レス) id: 2e57339124 (このIDを非表示/違反報告)
マホlove - ありがとうございます!わざわざ調べていただいて。無事見れました!本当にありがとうございました!!!! (2017年5月19日 23時) (レス) id: 22d20cf1e3 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ももた | 作成日時:2017年4月8日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。