【完結】ハナミズキ(実況者ポッキー)

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バタバタと慌ただしい音が聞こえてくる
これは聞き馴染みのある音
基本的にあの人は動きが騒々しいから
あぁ、帰ってきたんだな。なんて思いながら寝返りを打てば
窓から入ってきているであろう日の光が顔を照らして眉間に皺を寄せた

だけどそのおかげで思考が動きはじめる

帰ってきたのは姉で
それは仕事から
…あれ？それは数日前の話じゃなかったっけ？
慌ただしい音は私に近づいてくる

薄く目を開けば、捉えたのは窓際の花


「っ！！」


その色に瞬時に全てを思い出す

そうだ、大雅
昨日一緒にいてくれて
そして私は眠ってしまった

慌てて」上半身を起こして部屋を見渡してみても、もうその姿はなくて
だけどその香りが残っているような…不思議な感覚

申し訳なかったな、でも嬉しかったな

なんて記憶に浸っている暇もなく


「A！」


ばん！と大きな音を立てて開かれた扉
その勢いに全てを持っていかれてしまった


「お姉ちゃん…」

「ただいま！」


大丈夫だった？
なんてやたらと機嫌よく聞いてくる姉に圧倒されながら大丈夫とだけ答えて
私も全く同じ質問で返せば、全く同じ返答が返ってくる


「あのね、朝電話あったよ」

「え」

「Aの好きな人ね
用事があるから、って…私の帰宅時間聞いてギリギリまでいてくれたみたい！」


それは間違いなく大雅の事で
もう既にこの家にはいないらしい
だけど確実に泊まってくれたようで、姉はその事実を興奮気味に話す
「あー、顔が見たかった！残念！」なんて言いながらベッドの淵に座った


「いい人だね、ほんと」


にっこり、優しく微笑んで私を見つめる
その言葉にはいい男を見つけたね。なんて意味も含まれている気がしたから
だから何となく恥ずかしくなったりして


「でしょ？」


なんて、照れ隠しの様に強気に言ってみた
そんな私に姉はにやにやとしながら、昨日の進展は？なんて聞いてくるから包み隠さず話す
自分の事のように興奮する姉に、私も乗せられて
起きたばかりだというのにいきいきと言葉を紡いだ
これといった進展はなかったかもしれない、けど


「距離は、結構縮まったように思う」


友達としての
沢山語り合った私と大雅、その会話はほとんど途切れる事もなく
楽しかった、純粋に
大雅もそう思ってくれているのなら随分と仲良くなれたような気はする

そして何より彼の優しさはとんでもないから


「それってかなり脈ありじゃない？」


なんて、女子高生のように言ってくる姉
だけどまんざらでもない私は笑みを隠せなくて
「まさか」とかなんとか言いつつもその言葉に完全に浮かれていた

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