４ ページ4
この大袈裟な包帯はどうやら見たまんまだったみたいで
包帯が大袈裟なんじゃない、大袈裟な怪我をしてしまっているんだと
自分の現状についていけなくて若干引いてしまう
意識があったとはいえ、ぼんやりとしていたからか飛び飛びで
これは知らなかった
だけど脳に問題がなければ退院できるという事は
しばらく松葉づえで生活する事になるだろう、なんて
それは安易に想像ができた
「…すみません、」
引いて、そして落ち込んだ私を見て彼は小さく謝ってきた
「な…北川さんのせいじゃありませんから！」
今度は私の番
両手を顔の前で振ってそれを否定する
だって本当の事で
あの自転車の持ち主が悪いわけで
そして私が彼を助けたのは完全に私の勝手だから
だから気にしないでください
なんて言っても彼の顔は晴れない
一応感謝してくれているんだろうけど
やっぱり落ち込まれると申し訳なくなってくる
だから、どうしよう
なんとかしたい
そう思って私が唯一思いついたのが
「あ、じゃぁお礼してほしいです」
「お礼？」
突拍子もなく失礼な、不躾な提案
自らお礼がほしいなんて…なんて恩着せがましいんだろう
そんな考えも過ぎったけど一度発してしまった言葉は覆せないから
私は慌てて話す
「あの、」
その提案は、私の本音で
言葉が喉でつっかえてしまう
だけど手が届きそうな所にきっかけが舞い込んできた
きょとんとした表情の彼
私は熱くなる顔を必死に抑えながら
「わ、私と…友達になってください！」
右手を差し出して、そう、叫んだ
うん、最早叫びましたよ
余りの恥ずかしさにね
目を強くつむりながら
「……え？」
本当に友達のいない寂しい子みたいになっていて
何だかとても恥ずかしかった
彼はそんな私のおかしな提案に、間の抜けた声をもらして
引いている、そんな気がする
わかる。私でもきっと引くと思う。
だけどここで終わりじゃ、私は掴んだきっかけを棒に振る事になるから
手を差し出したまま動かない
動けない
私は肩を震わせながら、固まった
すると
「っぷ…はははっ何ソレ」
我慢してました、とでも言うかのように噴き出して
そして笑う
そんな彼の様子に私はぱっと視線をあげると
その瞬間、その手は優しく握られて
「いーよ、友達ね」
冷たい手でしっかりと握手をしながら
彼は低い声で楽し気にそう言った
私はますます顔に熱が溜まっていくのを感じて
彼の綺麗な顔を見つめて、動けなくなる
さて、お気づきでしょうか？
そう
私は彼に、恋しています
(それは少しの過去から現在進行形)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 94人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ももた(プロフ) - ぴょんさん» ありがとうございます！ちょっとバタバタしてしまって停滞気味ですが、もう結末までストーリーは考え終えていますので、頑張って書いていきますね(＾＾) (2017年6月6日 0時) (
レス) id: f1aa9eefcc (このIDを非表示/違反報告)
ぴょん - 続きがとても楽しみです！頑張ってください！応援してます！ (2017年6月4日 2時) (レス) id: ff860ae17d (このIDを非表示/違反報告)
ももた(プロフ) - べにべにさん» 遅くなりました！こういうコメントのおかげで書き続けられます！本当にありがとうございます(＾＾) (2017年5月23日 22時) (レス) id: f1aa9eefcc (このIDを非表示/違反報告)
べにべに - 待ってます更新！！続きが楽しみです！ (2017年5月21日 13時) (レス) id: 2e57339124 (このIDを非表示/違反報告)
マホlove - ありがとうございます！わざわざ調べていただいて。無事見れました！本当にありがとうございました！！！！ (2017年5月19日 23時) (レス) id: 22d20cf1e3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ももた | 作成日時：2017年4月8日 1時
