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「…それにしても」


似てる

会社に泊まる事になった私はぽつりと呟いていた
突然の天気の崩れ
それは帰路を急ぐ私には本当に迷惑そのものでしかなくて
それでも、無理矢理にでも帰ろうと思っていた

だけどその考えは、すぐに変わる

今家には妹と、妹の好きな相手がいて
2人きり
ひとつ屋根の下で

こんな展開めったにあるものじゃない
心配が全くないと言ったら嘘になるけど
ここは姉として、妹を信じてそして応援してあげようなんて気持ちが勝った

だから無理に帰るのはやめて
上がる口角を抑える事なく妹に電話をしてそれを伝えようとすれば、電話口から聞こえてきたのは男の声だった


驚いたけど、彼はとても丁寧で
家の中の現状を全て説明してくれたうえで、妹をお願いする事も快く了承してくれた
その声を、態度を電話越しにでも聞けて
少しだけその人柄にほっとする

うまくいくといいな
妹が幸せなのが、やっぱり何より嬉しいから


だけど、私はもうひとつ気になってしまった
お気づきだとは思うけど、電話越しのその声はとんでもなく聞き馴染みのある声色


「ポッキーさんの声に似すぎでしょ」


あそこまで似ていればもう本人レベル
あの人が妹の恋人になれば、その声は聴き放題!なんて少し変な方向に浮かれてみたりもするけど


「…まさか、ねぇ」


そんな事ある訳ないと言い聞かせても、その声は耳にこびりついたように繰り返される
だけど間違いなく他人の空似
常識的に考えれば普通はそうなる

だから私は邪な考えを打ち払うように、くわえたタバコに火をつけた


「うまくいくといいなぁ」


恋して、可愛くそれを教えてくれた妹を思いだす
妹も思うだろうか?
まだその動画は見せたばっかりだけど
ポッキーさんに似てる、だなんて
それが会話を広げるきっかけになったりしても面白いなぁ

そんな事を考えていると、手に持っていたスマホが震えた


「ん、」


それはメッセージの通知で
また仕事かな…なんて煙と共に深くため息を吐き出しながら慣れた手つきでそれを開く

それは、


「っ!!!」


最早飛び上がる程に、驚いた
目を見開いて息を呑む
それは妹に隠れて応募していた二人分のもの


「ファンミ…当たった…!!」


それは何度も外れていたファンミの当選
言わずもがな、ポッキーさんに会えるあのイベント

私のテンションは最高潮にあがって

ポッキーさんに会える、その事で一気に頭がいっぱいになった


「Aに、言わなきゃ」


気持ち悪いくらいににやけながら呟いた

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ももた(プロフ) - ぴょんさん» ありがとうございます!ちょっとバタバタしてしまって停滞気味ですが、もう結末までストーリーは考え終えていますので、頑張って書いていきますね(^^) (2017年6月6日 0時) (レス) id: f1aa9eefcc (このIDを非表示/違反報告)
ぴょん - 続きがとても楽しみです!頑張ってください!応援してます! (2017年6月4日 2時) (レス) id: ff860ae17d (このIDを非表示/違反報告)
ももた(プロフ) - べにべにさん» 遅くなりました!こういうコメントのおかげで書き続けられます!本当にありがとうございます(^^) (2017年5月23日 22時) (レス) id: f1aa9eefcc (このIDを非表示/違反報告)
べにべに - 待ってます更新!!続きが楽しみです! (2017年5月21日 13時) (レス) id: 2e57339124 (このIDを非表示/違反報告)
マホlove - ありがとうございます!わざわざ調べていただいて。無事見れました!本当にありがとうございました!!!! (2017年5月19日 23時) (レス) id: 22d20cf1e3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ももた | 作成日時:2017年4月8日 1時

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