検索窓
今日:36 hit、昨日:3 hit、合計:43,144 hit

26 ページ26

「初め……はい…で…あ、全然…、」


ぼんやりと揺蕩う意識の中、耳に届いてきた心地のいい低音
浮上する意識を自覚して重たい瞼を無理矢理あげてみた
回らない頭は何もわかってないけど
それでも目をあけなくちゃいけないって思えたから

そのまま瞼をあげれば視界に入ってきたのは電話
…いや、大雅が電話しているのを私は下から見てた
しかも

(私、の…?)

えっと、なにこれ、どういう事
頭がまわらない
ひとつずつ考えなくちゃいけない

とりあえずはこの角度は一体何
何で下からのアングルなのか、って
頭の下は温かくて、あんまり柔らかくない感触
これは、

「ッ…!!」

「わっ」

自分の状況を一気に理解して、私は勢いよく起き上がった
そんな突然の行動に彼も驚いたように声をあげる

寝ていた、いつの間にか意識がなくなっていた
そして目をあけた今の体制は、間違いなく膝枕
私は大雅の膝で眠りこけていたらしい

飛び上がって、座ったまま振り返って

「ご、ごめん…!」

慌てて、謝る
それは最早何も考えられてはいないけど
よくない展開になっている事は分かる

すると大雅は驚いた表情を見せてから「大丈夫だよ」なんて笑ってくれて
その笑顔に見惚れながら…その手に握られているスマホに視線を移した

「それ、」

「!
あ、勝手にごめん!」

視線に気づいて今度は彼が慌てて
謝りながらそれを私に渡す
見間違いじゃなかった、それは私のスマホそのものだった
だから分からない
私はそれを受け取って、怪訝な顔のまま大雅を見つめればポツリポツリと話始めてくれる

「すごい迷ったんだけど、何回も電話かかってきてて」

「電話…」

「画面に"お姉ちゃん"って出てたから、心配してるかなと思って…」

一応何度か起こしてみたんだけど
少ししどろもどろになりながら語られたそれ
私は全然起きなくて、でも姉からの着信は何度も鳴っていて
いたたまれなくなった大雅は私のかわりに出てくれた、らしい

そして謝ってくれる…なんて
聞けば聞くほどに申し訳ない
謝るのなんて、間違いなく私の方

「それでお姉さん、今日は帰ってこれそうにないって」

「えっ」

姉は突然の天気の荒れに巻き込まれて電車は動かずタクシーもつかまらなくなっているようで
何より停電が未だに直っていないらしい
この家だけじゃなくてここ一帯が停電しているみたいで
思ったよりも酷い現状に時間を確認すれば私は恐らく一時間ほど眠っていたよう
現状の説明に眉間に皺を寄せたまま聞いていると、

「だから今日は、俺といよう」

彼は私の眉間を人差し指で突っつきながら、優しくそう告げた

27→←25



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (46 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
94人がお気に入り
設定タグ:ポッキー , 実況者 , pocky_sweets
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ももた(プロフ) - ぴょんさん» ありがとうございます!ちょっとバタバタしてしまって停滞気味ですが、もう結末までストーリーは考え終えていますので、頑張って書いていきますね(^^) (2017年6月6日 0時) (レス) id: f1aa9eefcc (このIDを非表示/違反報告)
ぴょん - 続きがとても楽しみです!頑張ってください!応援してます! (2017年6月4日 2時) (レス) id: ff860ae17d (このIDを非表示/違反報告)
ももた(プロフ) - べにべにさん» 遅くなりました!こういうコメントのおかげで書き続けられます!本当にありがとうございます(^^) (2017年5月23日 22時) (レス) id: f1aa9eefcc (このIDを非表示/違反報告)
べにべに - 待ってます更新!!続きが楽しみです! (2017年5月21日 13時) (レス) id: 2e57339124 (このIDを非表示/違反報告)
マホlove - ありがとうございます!わざわざ調べていただいて。無事見れました!本当にありがとうございました!!!! (2017年5月19日 23時) (レス) id: 22d20cf1e3 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ももた | 作成日時:2017年4月8日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。