検索窓
今日:7 hit、昨日:12 hit、合計:141,005 hit

ページ9

「どうでしょうか…」

「うーん、ちょっと薄い?かも?」

「じゃぁもう少しお醤油足します」

グツグツ
沸騰しはじめたそれの火を弱めて
緑色の髪の彼はすくったそれを味見してアドバイスをくれる
スマホとにらめっこしながら作ったそれはまだ薄いようで料理センスのなさを痛感させられていた
少しの待機時間、のち今度は自分で味見をしてみる

「!お、美味しいかも!」

はい!
ともう一度すくって渡すと、口をつけて「うん」と頷いてくれた
それは同意で私はニンマリと笑って火を止める

「出来たー!嬉しいー!
相馬さん、ありがとうございます」


完成
随分と時間はかかってしまったけど
出来るだけ一人で作りたいとお願いした私に必要最低限の手伝いだけで最後まで付き合ってくれた相馬さんにお礼を言う
無駄にあがったテンションのまま完成を合図に両手をあげてみせれば彼はノリよく「いえーい」なんて言いながらハイタッチをしてくれた

「待って、いつの間にそんな仲良くなってんの」

じと、とした不機嫌な視線
先程やってきたばかりの兄は感情むき出しな顔をして私達を見ていた


「えへ、仲良くなるのに時間は関係なかったって事だよ」


皮肉をこめて不機嫌な兄にとてもいい笑顔を見せれば耕大は眉間の皺を深める
また、ほらもうその顔
私に彼氏ができた時に見せるそれ。煩わしいけど、嫌いではなかった。
つまるところ私だって兄が大好きなんだから、大好きな気持ちをぶつけられるのはいつだっていい気分

私が気に入らないのはそこじゃないし
耕大が不機嫌な理由も相馬さんと仲良くなっているからではない
そんな事は分かっているから相馬さんとの出会いとかその理由なんていちいち語らない
というより今日出会って優しい相馬さんに甘えているだけだから、語る程のエピソードもなかった

はー、と深く溜息を吐く耕大をスルーして食器棚から人数分の食器を取り出す


「いや俺ダメだって言ったよね?」

「何が」

「ここに来んな、って」


昨日言ったばっかなんだけど
不満げにそう漏らしてくるけど私は顔も見ないで着々と準備を進めて
不機嫌な耕大と私を気まずそうな表情で交互に見ている相馬さんは状況がわからないと言わんばかりに困惑している

そう、私はあの後
マホトさんが構ってくれると言ってくれたあの後
強引に荷物と私を家から引っ張り出した耕大に新しい家に
そこで延々とお説教と説得をされていた

だけど何にも心に響く事はなく、私は翌日に掃除と荷解きを終えてスーパーへ
そしてウキウキと向かった先がここで
出迎えてくれたのが相馬さんだった

10→←8



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (52 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
320人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ももた(プロフ) - まほしゃちょーさん» 嬉しいです!ありがとうございます(^^)もっともっと面白くなるように頑張りますね! (2017年5月8日 2時) (レス) id: 9c4e44a43b (このIDを非表示/違反報告)
まほしゃちょー - めっちゃ面白いです(>_>) (2017年5月7日 23時) (レス) id: 8c91b50b1a (このIDを非表示/違反報告)
あやの - なんかこっちも嬉しいです!テンション上がってよかったです(^-^)vほんとマホト優しい(泣) (2017年5月6日 10時) (レス) id: fa8761fcb7 (このIDを非表示/違反報告)
ももた(プロフ) - りんごいちごさん» コメントありがとうございます!とっても嬉しいです(^^)強気ヒロインなので、そう言っていただけるとほっとします(笑)まだまだ頑張りますね!! (2017年5月5日 0時) (レス) id: f1aa9eefcc (このIDを非表示/違反報告)
りんごいちご(プロフ) - マホトかっこよすぎます(;o;)主人公もめっちゃいい子!これからも頑張ってください応援してます!! (2017年5月4日 15時) (レス) id: ace6ccd855 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ももた | 作成日時:2017年4月8日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。