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「さ、好きなだけ食え」

「わーい」


夕食
私とマホトは家に帰らずにそのまま外食する事にして
乙女の気持ちを弄んだ、なんて文句を言えばマホトは少しお高めの焼肉に連れてきてくれた
それだけでもテンションがあがるけど

マホトと2人きりのご飯

その事実の方が私にとっては嬉しい事実

手渡されたメニューを笑顔で見て、食べたいものを欲求のまま我慢しないで注文する
遠慮した方が可愛かったかもしれないけどそんな小手先の嘘、今更通用しないだろう
だったら、と遠慮なく頼ませてもらった

どんどん運ばれてくるお肉に目を輝かせて
軽くお酒を飲みながら、舌鼓をうつ

そんな私を割りと笑顔で見てくるマホト
その笑顔に、私は忘れそうだったけど、しっかり思い出す
そもそもの目的

私は握っていたグラスを口に運んで、グイッと勢いをつけて飲み干した


「マホトに聞きたい事があります」


そっとグラスを戻しながら、丁寧に言った
マホトもその言葉に手を止めて


「なに?」


柔らかい表情で視線を真っすぐ向けてくれる

ドキドキと早くなる心臓を自覚して
緊張を隠す事もなく、最早睨む勢いで強く見つめた


「か、彼女は!?」

「ん?」

「今、付き合ってる人、は…」


いないんですか…

最初の勢いはいずこへ
視線も思わず逸らしてしまって、どんどん小さくなっていく語尾
怖い、だけど気になる…というか聞いておかないと進めない

言えばどんな表情をしているかわからなかったけど、マホトは一瞬固まったような気がして

そして、


「いる」

「ッ…!」


一瞬間を置いて、返ってきた言葉は予想外だった
何だかんだ言っていないと高を括っていたから

心の底からびっくりして、目を見開く
逸らした視線をマホトに戻す

と、口角のあがった笑顔で


「って言ったらどうする?」


焦る私とは裏腹なその表情
それは説明されなくてもわかる
マホトのこの顔は完全にふざけている時のもので
からかわれている、また

その返答に私は三秒だけ考えた

三秒はその真意に辿り着くまでの時間
理解して、眉間にどんどん皺が刻まれるのを感じて
頬を膨らませる
それはもう漫画の様に


「だったら、遠慮しないからね」


つかみどころのないその態度に、いないんだと捉えさせてもらう
そういう意味で宣言する

マホトは私のその様子に軽く笑って再びお肉を焼き始めた

それを私は勝手に承諾したと受け取る
だけどマホトが好きだという気持ちのまま、真っすぐに想う事を許されたようで内心では喜んでいた

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ももた(プロフ) - まほしゃちょーさん» 嬉しいです!ありがとうございます(^^)もっともっと面白くなるように頑張りますね! (2017年5月8日 2時) (レス) id: 9c4e44a43b (このIDを非表示/違反報告)
まほしゃちょー - めっちゃ面白いです(>_>) (2017年5月7日 23時) (レス) id: 8c91b50b1a (このIDを非表示/違反報告)
あやの - なんかこっちも嬉しいです!テンション上がってよかったです(^-^)vほんとマホト優しい(泣) (2017年5月6日 10時) (レス) id: fa8761fcb7 (このIDを非表示/違反報告)
ももた(プロフ) - りんごいちごさん» コメントありがとうございます!とっても嬉しいです(^^)強気ヒロインなので、そう言っていただけるとほっとします(笑)まだまだ頑張りますね!! (2017年5月5日 0時) (レス) id: f1aa9eefcc (このIDを非表示/違反報告)
りんごいちご(プロフ) - マホトかっこよすぎます(;o;)主人公もめっちゃいい子!これからも頑張ってください応援してます!! (2017年5月4日 15時) (レス) id: ace6ccd855 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ももた | 作成日時:2017年4月8日 1時

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