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「それは絶対違うでしょ」

「え…」

「悪いのは君でもないしAでもない、間違いなく相手の男なんだから」


驚く彼女にそう言ってのける耕大はさっきの男たちへの怒りを言葉に乗せて不機嫌そうにそう言った
言い方はあんまりよくないかもしれない
余裕もないし、感情がだだ漏れ

だけど私は人の感情に、出来事に、自分の事のように感情が揺れる耕大がたまらなく好き

そう思って思わず口角をあげる
それに気づいた耕大が再び私の方を見て「なに笑ってんの」なんて冷やしているそれをぎゅっと強く押してきた


「いひゃいいひゃい!」

「悪くはないけど良くもないから!何で1人で突っ込んでったの!馬鹿なの!?」


それは怒りと心配
いや心配からの怒りか

耕大の言いたい事はとてもよくわかる
私も自分で馬鹿だなともちゃんと思ってる

それでも動いてしまったものは仕方がない
結果的に私も、彼女も無事で
正直なところ私は反省するどころか少し誇らしげに思っていた
自分自身を…なんて、怒られるから絶対言わないけど


はぁ、なんて盛大な溜息を吐いて
耕大は私の頬から冷えたそれを離した
その代わりに大きな湿布をそこに貼る

…冷えすぎてその感覚はあまりなかったけど、痛みも随分軽減された

だから


「ありがとー耕大」

「ん」


素直にそう伝えて、湿布のゴミを机に投げ置いた耕大を横目に私は勢いよく立ち上がる


「トイレ、行ってくるー」


にっこり笑って、耕大と彼女にそう伝えれば彼女はぺこりと頭を下げていた
ついでに眉も下がりっぱなしで
うーん…あんまり気にしてないといいけどなぁ、なんて

そうもいかないそれを願いながら私はリビングをあとにする
だって、そう


「ッ…、」


もういろいろと、限界だったから

私はその廊下を小走りで進む
今誰にも顔を見られる訳にはいかなかったから
だから急いでトイレまでの道を進んでいく

筈、だったのに


「っ、わぁ!!」


唐突にガチャ!なんて大きな音を立てて開かれたのは通り抜けた筈の部屋で
その音は背後から
だけどそのまま腕を掴まれ引かれ、私の体は強引にその部屋の中へ

その勢いで振り返れば


「ま、マホト?」


そこはよく知っている彼の部屋で
私の腕を引いたのはマホト本人だった
その目は優しく笑っていて


「つかまえた」


なんて、悪戯っぽく言ってのけた
私は意味が分からなくて困惑する

けど、今、どうしても顔を見られたくなくて

不自然に笑いながら「どうしたの?」なんて
掴まれていない方の手で前髪を触ったりしながら、俯いた

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ももた(プロフ) - まほしゃちょーさん» 嬉しいです!ありがとうございます(^^)もっともっと面白くなるように頑張りますね! (2017年5月8日 2時) (レス) id: 9c4e44a43b (このIDを非表示/違反報告)
まほしゃちょー - めっちゃ面白いです(>_>) (2017年5月7日 23時) (レス) id: 8c91b50b1a (このIDを非表示/違反報告)
あやの - なんかこっちも嬉しいです!テンション上がってよかったです(^-^)vほんとマホト優しい(泣) (2017年5月6日 10時) (レス) id: fa8761fcb7 (このIDを非表示/違反報告)
ももた(プロフ) - りんごいちごさん» コメントありがとうございます!とっても嬉しいです(^^)強気ヒロインなので、そう言っていただけるとほっとします(笑)まだまだ頑張りますね!! (2017年5月5日 0時) (レス) id: f1aa9eefcc (このIDを非表示/違反報告)
りんごいちご(プロフ) - マホトかっこよすぎます(;o;)主人公もめっちゃいい子!これからも頑張ってください応援してます!! (2017年5月4日 15時) (レス) id: ace6ccd855 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ももた | 作成日時:2017年4月8日 1時

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