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そんな事分かっている

いや分かっているつもりなだけだったかも…なんて思わされた
力の抜けたあどけない寝顔のマホトからはそんな事考えられなくて
だけどそれを真っすぐに認めるのはとんでもなく癪だから

「…マホトはそんな事しないもん」

「会って数日の奴が何を分かった気になってんの?」

「数日だって、わかるよ」

むす、とした顔をそのまま真っすぐ言う
内容はとても苦しいしジン君の言っている事の方が正しい事もわかっているから
だけど全くの嘘ではなかった
だって、もう感覚の問題だけど
なんとなくマホトはそんな人じゃないなんて、そう思う
惚れた弱みなのか
そうであってほしいと思う理想の押し付けかもしれないけど

私は自分が好きになった気持ちを信じたいから
こんな言葉で凹んだりしない
…なんだったら本当に何かあっても構わないもん

そんな私を暫く静かに見つめていたジン君は片手を地面に置いてそこに体重をかけて私との距離を縮めた

「ふーん…じゃぁ俺の事もわかんの?」

変わらない声色で淡々と呟きながら詰めた距離
ジン君は伸ばした手で私の肩を掴んで
気付けばその距離はとても近かった

「俺は誰でも、いつでもそういう事が出来るし
隙があるならすぐ食っちまうけど」

「っ!」

それも、わかった?

気付けば吐息を感じる距離
冷たく告げられるそれは皮肉
「男はみーんなそう」なんて付け加えて
その瞳から視線が外せない私は

(あ、これは、だめだ)

この感じは、もう

キスされる
そう思って、だけどどうすればいいかも判断できずに固まってしまう
丸くしていた瞳を思わずぎゅ、とつむる


その時

「ッ!!」

それは本当にぎりぎりだった
喋らなくても呼吸を感じる程の近さ
もう、触れてしまう
そんな本当に、寸前

私は手首を思い切り引っ張られて、そのまま布団へダイブした
…正しくは、その腕の中だけど


「ま、まほと」


大好きな人の香りに包まれて、私は何とも間の抜けた声が漏れる
私の腕を引いたのは寝ていると思っていたマホト本人で
片腕で上半身だけ軽く体を起こしてその胸に私は顔を押し付ける形で抱きしめられていた

それはそれで困惑する

だけどマホトの腕に邪魔されて、その顔を見る事も叶わずに


「だめ」


出されたその言葉は柔らかかったのに
そのトーンは割と強めで


「何考えてんだばか」


怒っている
言葉から醸し出される空気はそんな感じで
私は動けないし、動けたとしてもどうすればいいかわからないから黙って固まっている

だからそれはジン君へ、なのか、私への言葉なのか
そんな事も判断できなかったんだ

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ももた(プロフ) - まほしゃちょーさん» 嬉しいです!ありがとうございます(^^)もっともっと面白くなるように頑張りますね! (2017年5月8日 2時) (レス) id: 9c4e44a43b (このIDを非表示/違反報告)
まほしゃちょー - めっちゃ面白いです(>_>) (2017年5月7日 23時) (レス) id: 8c91b50b1a (このIDを非表示/違反報告)
あやの - なんかこっちも嬉しいです!テンション上がってよかったです(^-^)vほんとマホト優しい(泣) (2017年5月6日 10時) (レス) id: fa8761fcb7 (このIDを非表示/違反報告)
ももた(プロフ) - りんごいちごさん» コメントありがとうございます!とっても嬉しいです(^^)強気ヒロインなので、そう言っていただけるとほっとします(笑)まだまだ頑張りますね!! (2017年5月5日 0時) (レス) id: f1aa9eefcc (このIDを非表示/違反報告)
りんごいちご(プロフ) - マホトかっこよすぎます(;o;)主人公もめっちゃいい子!これからも頑張ってください応援してます!! (2017年5月4日 15時) (レス) id: ace6ccd855 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ももた | 作成日時:2017年4月8日 1時

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