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何となく気に入らなかった
何故?って問われると返答に困ってしまうんだけど
女だからとか特別扱いだとか、んなもんは気にならない
じゃぁ何が?そう思うだろうし、俺自身もおんなじ事思ってる
別に嫌いじゃない、だけど気に入らない
これを生理的に受け付けない。とでもいうんだとしたら俺は案外小さい人間だななんて失笑してしまう
だからマホトとあいつが醸し出す空気は俺をイライラさせるもの以外のなにものでもなくて
別に興味ない、好きにさせておこう
どうせ気まぐれだしすぐに飽きるだろう
そんな風に自分自身を納得させて俺はただただ静かに酒をあけていった
だから彼女からの問いかけにも意地の悪い感情が前面に出てしまう
それは伝わっているようで、だけど相手にもされていなかい
むしろ彼女は俺のその言葉に何かを思いついたように真顔になって
そして、笑った
「名案かも、」
なんて、小さく呟かれたそれを俺は聞き逃さなかった
彼女はマホトの顔を覗きこむように近づく
「マホト、寝る?」
さっきまでの悪戯な笑顔を消し去って優しい微笑みと落ち着いた声色で
思いっきり何か企んでます、なんて顔
普段のマホトならすぐに気付いてあしらっていただろう
きっと相手にもしないで、むしろ逆にからかっていたかもしれない
だけど今にも寝てしまいそうな表情は酔いも手伝ってその言葉の真意なんて読み取ろうともしないで
囁かれたそれに素直に首を縦に振っていた
その返答に満足気な彼女は「じゃぁ部屋いこっか」なんてマホトの肩に優しく手を添える
マホト本人は全く動く様子を見せなかったけど畳み掛けるように「ここじゃ体痛くなるよ」とか「布団の方が気持ちいいよ」なんて誘導する彼女に根負けしてゆるり…起き上がった
ほとんど閉じてしまっている瞳
ふらついて覚束ない足取り
そんなマホトの手を取ってにっこり、部屋へ向かおうとしている
だから
「手伝おうか」
俺も同時に立ち上がって
善意の笑顔を見せつけてやる
目を丸くして固まった彼女をとりあえずスルーしてマホトの腕を首の後ろに回して支えれば「病人じゃねんだから」なんてけらけら声をあげるこいつは相当酔っている事が伺えた
そんな笑顔の真横の彼女は丸くしていた目を細めて
効果音をつけるとすればジトー、と俺を睨む
何を企んでいるのか、とでも言いたげな顔
「それはこっちの台詞だっつーの」
その視線だけで交わされた会話にあえて声をあげて言い放つ
何となく分かっているこいつの企みに
そううまくはいかねぇよ、なんて
悪戯心が前面に、それは非常に愉快で
俺も案外酔っ払いなのかもしれない
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ももた(プロフ) - まほしゃちょーさん» 嬉しいです!ありがとうございます(^^)もっともっと面白くなるように頑張りますね! (2017年5月8日 2時) (レス) id: 9c4e44a43b (このIDを非表示/違反報告)
まほしゃちょー - めっちゃ面白いです(>_>) (2017年5月7日 23時) (レス) id: 8c91b50b1a (このIDを非表示/違反報告)
あやの - なんかこっちも嬉しいです!テンション上がってよかったです(^-^)vほんとマホト優しい(泣) (2017年5月6日 10時) (レス) id: fa8761fcb7 (このIDを非表示/違反報告)
ももた(プロフ) - りんごいちごさん» コメントありがとうございます!とっても嬉しいです(^^)強気ヒロインなので、そう言っていただけるとほっとします(笑)まだまだ頑張りますね!! (2017年5月5日 0時) (レス) id: f1aa9eefcc (このIDを非表示/違反報告)
りんごいちご(プロフ) - マホトかっこよすぎます(;o;)主人公もめっちゃいい子!これからも頑張ってください応援してます!! (2017年5月4日 15時) (レス) id: ace6ccd855 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ももた | 作成日時:2017年4月8日 1時