【完結】約束4(ワタナベマホト)

その後３(ポキさん編) ページ9

「俺はまほっちゃんの気持ちも知ってたし
Aちゃんの事に関しては、全部本人から聞いてたんだよね」


優しい声色で話し始める
今度は俺がはじめさんの顔を見て、彼は前を向きながら


「それで、勝手な判断で余計事した」


君と彼女が付き合い始めた事も知ったうえで


マホトさんの元カノが付きまとっていたりとか…その人にAちゃんが刺されたんだとか
そういう詳細を細かく説明してくれた

その内容を、はじめさんが伝えたい内容を要約するならば
Aちゃんに伝えた、という事
2人のすれ違いを

それは俺にとっては、確かに"余計な事"だった

だけどそうされてしまったのは
結果こうなってしまったのは俺の"隙"
そんなもの、誰が責められるのか

だから、


「馬鹿にしないでください」


なんて
じ、とはじめさんを見つめながらそう言った

すると彼は少し驚いた表情を見せて
すぐにわかりやすく困ったように落ち込んで

そんな事は意にも介さず俺は続ける


「俺だってAちゃんが大切ですよ」


「…ん？」


「それくらいには、好きなんです」


腑に落ちない
なんて顔の彼に、俺は少し悪戯に笑ってみせた

彼女が笑っていればそれでいい
それが例え俺の傍じゃなくったって

…なんて思えるほど紳士ではない
嫉妬もするし、とても悔しいと思っている


だけど知っていたんだから
誰が彼女を責められるだろう

むしろそれは俺の罪、なんて


そんな俺に、はじめさんは哀れむような目をして
だけど、


「でもまだ、終わりじゃないですよ」


俺は前を向きなおしてぽつり、呟く


「ちゃんと、ケジメはつけないと」


そう、俺は決断しないといけない
決断なんて選択肢はなんにも残されてはいないんだけど
それでも心に抵抗するには時間がほしい


そう言うとはじめさんは少し考えるような間をあけて

ぽん、と優しく俺の背中を叩いて
そして立ち上がって、去っていった

何も言わず


「…」


俺はとてもいい先輩をもったもので

静かな空間
俺は目を閉じて、心を落ち着かせる

理解と覚悟


だから、俺は

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