【完結】約束4(ワタナベマホト)

その後４(マホト編) ページ16

マホト本人から説明されるそれは、想像もしていなかったことで
結衣さんが元カノだって事は本当で
だけど別れてから、付きまといが始まった

つまるところ元恋人からのストーカー行為

ありそうでなかなか思いもよらなかった真実に絶句する
だけど私が見た彼女の姿はそれを裏付けるには充分すぎるくらい異質だったから
容易に信用できた

そんな彼女から私を隠そうとした行為と
それに失敗していた事


「…お前が見た、俺があいつを抱きしめてたのもそういう事」

「…」


結衣さんとの喫茶店も
そこでその行為を見ていた事もマホトは知っていたようで
しっかりとそれを否定した

聞けば聞くほどに、複雑に絡み合っていた
本当にいろんなタイミングの悪さ
すれ違うように起こっていった出来事に最早感心してしまう程で

だから全部全部、勘違いで
大体悟る
私がろくにマホトの話も聞かないで、逃げて、自己完結して
全てはそれが原因

自分の浅はかさにため息がでる


だけど、どうしても聞きたい
これだけ誤解が解けたいま最早聞く必要もないんだろうけど


でも、



「マホト、」

「ん？」

「結衣さんと、さ…キス、してたよね」



小さく小さく、問う

それは一番最初の衝撃
あの姿が脳裏に焼き付いて
だから何があってもその姿を理由に逃げてきた

そんな原点をマホトに聞いて


「…」


そして私はどうしたいんだろう？

見ていた現実を否定しろとでも？
否定されたってそれは嘘で、納得何て出来る訳ない
もう、大方が勘違いだってわかっている
マホトは私を想ってくれていたんだって
なのにそれをマホトに肯定させて、どうしたいんだろう

自分の気持ちがわからなくて

聞いてみたものの何だか後悔しながら俯いて黙ってしまう


そんな私を見てマホトも黙ったまま
静かに私の手を握って
そして口を開いた



「覚えてんだろ？」

「え？」

「……約束」



言いにくそうに、恥ずかしそうに
だけど真面目にそう言うマホト

それは幼い頃の私達

目覚めた時に確認し合ったそれ


「お、覚えて、ます」


ずっと心に残っている約束

だけど遠い昔の子供の頃の口約束
だから何だか何とも言えない恥ずかしさ
それから深層心理を口に出しているかのような息苦しさ

軽く握られた手の熱はどちらのモノかもわからない


「それなりに恋愛はしてきた、お前も知ってると思うけど」

「…」

「だけどな」


その約束はずっと覚えてた

言いにくそうに、だけど淡々と話すそれはにわかには信じがたいもので
だけど目覚めた時に彼の口から出た
だから信じざるを得なくて

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