3. 子羊 ページ3
. 大倉side.
大「立てへんの？」
生まれたての子羊みたい。全然立てへんやん。
足痺れてるとか？
おもろ、とか思ってたけど、
Aの様子がなんかおかしいな、って。
ただ立つだけにこんな時間取って、汗ばんでるし。
大「…どうしたん？」
『大丈夫、立てるから』
怪我してるわけでもないのに。
ちょっとおかしいから、
俺がしゃがんで、Aに目線を合わせるようにして
久しぶりに、Aを見ようと顔をみたら
大「A…？」
何年ぶりかな。絡む視線が、背筋をビリッと通った。
けど、
俺のことを、あまりにも怯えた目で見るAに、
知らんうちに、A？って呟いてた。
大「立てへんのやろ。」
って手を出すと、ビクッと身体を大きく揺らし、
俺の手を怖がる。
『ごめんなさい、』
そう謝って、一瞬目が合ったあの後から、
Aは俺と目を合わせようとはせずに。
手を取ろうか、迷うその震えた手は、
俺が知ってた手よりも、小さく見えて。
大「痩せた？」
全体的に、小さくなったように見えて。
昨日、帰った時は顔はもちろん、身体なんて見てないし。
長い間触れてないしな？
Aに興味が無くなったあの日から
今の今まで、ちゃんと見てきた事なんて
なかったなぁ。
結局Aは俺の手をとることに躊躇って俯いた。
…とりあえず立たせて場所移そうと
身体を持ち上げると、思ったよりも軽くて
大「……痩せたよな」
って実感した。
ちょっと落ち着いて、
Aが言う。『ご飯いる？』
大「いらん」
そう返事をすると、そっか、といつもの返し。
「捨てとくね、」
よろめきながら立ち上がり、キッチンに行き、
そう言ってAは、お皿のラップを外して
ゴミとして捨てた。
なんか、その光景が、酷く虚しく見えて。
いつも俺が「いらん」って捨ててた
Aの作ったご飯って、
あんなふうに見えるんやなーって。
『ぁっ、』
全部捨て終わり、キッチンから戻ろうとしたAが
つまづいて、転けた。
つまづいて、って、フローリングやしなんも歪みなんてないんやけど。
大「…なにしてんの、さっきから」
『ごめ、何してんだろ？』
あはは。と笑った彼女の、その笑顔は
俺の知っていた遠く薄れた記憶の中の笑顔とは
違うような気がしていた。
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∞くらゆい∞(プロフ) - 華花さん» 華花さん、ありがとうございます！感動していただけたんですか(；；)めっちゃ嬉しいです。私も最後までドキドキして書いているので、移行先でもよろしくお願いします！ (2018年5月8日 10時) (
レス) id: d641cf3230 (このIDを非表示/違反報告)
∞くらゆい∞(プロフ) - みくさん» みくさん！ありがとうございます(；；)そう言って頂けるだけで、ほんと描く気力になりますし、毎回泣いてくださるなんて、ほんとに嬉しいです。移行先でも、どうかよろしくお願いします。 (2018年5月8日 10時) (レス) id: d641cf3230 (このIDを非表示/違反報告)
華花 - とっても切なくて感動しました。結末がどんな風になるのかドキドキしています。応援してます。頑張ってください。 (2018年5月8日 0時) (レス) id: d8b8a4fb67 (このIDを非表示/違反報告)
みく(プロフ) - こんなにも胸が苦しくて毎回泣けるのは初めてで、切ないのは久しぶりです。どんな結末でも最後まで楽しみにしています。 (2018年5月7日 22時) (レス) id: 74ebaad20b (このIDを非表示/違反報告)
∞くらゆい∞(プロフ) - めちゃさん» めちゃさん…すごく嬉しいです…。もうすぐ移行になります。移行先で完結になる予定でいますが…ほんとに、ほんとにそんな言葉は嬉しいです。ありがとうございます。最後までみてほしいです。 (2018年5月7日 22時) (レス) id: d641cf3230 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：∞くらゆい∞
| 作成日時：2018年4月17日 17時
