初陣と兄達の憂鬱1 ページ48
(人1)「そうそう、Aちゃん今日初陣だけど、よろしく頼むね！」
そんな言葉の後、何処からか箸と椀が無惨にもバキリ、と壊れてしまった不穏な音が聞こえ、朝餉の場はしんと水を打ったように静まり返った。
＊＊
太郎「私と次郎太刀が…それぞれ椀と箸を壊してしまったこと…誠にお詫び申し上げます…」
次郎「Aちゃんが…初陣…京都市中……？なんか泣けてきたわ…」←
少し場所が変わり本丸の庭で。
この世の負の感情全てを抱え込んだような大太刀兄弟。
半刻前の主からの出陣命令。
さらに出陣するのは妹ときた。
太郎「現世に居る以上、愛しい我が妹もいつかは戦に出さねばならぬことは承知していた次第ですが…
いざ直面すると此れ程までに心が痛いとは…」
次郎「Aちゃんは主の役に立ちたいって言ってたからアタシ達は送り出さなければならないのでしょうけど…ああ…心がしんどいわ…」
ボソボソと幽鬼が呪いの言葉を呟くようにまるで生気の無い二人を励ますのは同じく弟達を持つ刀剣達。
一期「私もこの本丸に来た際弟達が当たり前のように出陣しているのを見て生きた心地がせぬようでした…」
江雪「我々刀は本来道具…特に刀は基本戦に出てこそのものです…
さらにそこに『人に使われたい、役に立ちたい』という道具としての欲求が付加されてしまえば…
…果たして戦に出ることが、刀にとっての成長と言えるのか否か…」
ハァ…と、四人の不安の込もった溜息が重なる。
次郎「しかも京都市中でしょう？
だだっ広〜い合戦場ならまだしも狭い道や家々の側を駆け回るならAちゃん守るどころかアタシ達が守られるくらいじゃないの。」←
太郎「京都市中や夜戦ではどうも私達は弱くなってしまうほどですから…。」
兄である刀剣は日々このような葛藤と戦っていると思えば太郎と次郎は一層気分が沈むようだった。
太郎太刀と次郎太刀の目には一筋の光すら無く、
まるで死んだ魚のような目をして必死に不安を消し去ろうとしていた。
＊＊
一方、Aは…
A「皆様のお役に立てるように全身全霊をかけて戦います！」
骨喰「…気合いは十分だ、あとは怪我に気をつけたほうがいい。」
薬研「おっ、頼もしいな。まあ、こんだけ健気なら兄貴二人は気が気じゃねぇだろうなぁ…」
A「…？」
＊＊
太郎「…っくしゅん…誰かが噂しているのでしょうか…」
次郎「はっくしょん！ん〜…花粉症とか…？」←
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あい - この小説何回も読み直しました！とてもお話が素敵でとても面白かったです！続きも頑張ってくださいね！ (2019年1月2日 2時) (
レス) id: 3de2951021 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこゆき - 文月緋さん» ありがとうございます！毎回遅くて申し訳ないです；；めちゃくちゃ頑張ります！(( (2016年8月14日 10時) (レス) id: 1d3ce8f2e0 (このIDを非表示/違反報告)
文月緋 - おお！！続き楽しみにしてました。これからも頑張って下さい！ (2016年6月15日 20時) (レス) id: 3f8854c3dd (このIDを非表示/違反報告)
ひよこゆき - 名無し91309号さん» すみません、次郎には口調に女性っぽさのあるがれっきとした男性として描けるように私も注意を払っていましたがまだまだ私の配慮不足でした…申し訳ありません。ご指摘ありがとうございました、是非参考にさせていただきます。 (2016年6月5日 17時) (レス) id: 1d3ce8f2e0 (このIDを非表示/違反報告)
名無し91309号(プロフ) - 次郎は一人称女みたいだけど話し方は普通に男ですよ。特別女になりたいという願望もありません (2016年6月5日 14時) (レス) id: 1e7336d97f (このIDを非表示/違反報告)
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