RUN BTS (ページ46)

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46.JIMIN ページ46

「A？」

心配そうなチェリンの声で、ハッとする。
今日はチェリンとカフェにきて2人で過ごしているのに。

『ごめ…ぼーっとしちゃってた』

えへへ、と笑うとチェリンは持っていたカップをテーブルに置く。

「パクジミンの事でしょ？」

飲みかけていた手が止まってしまう。

「だからあんな男やめときなって言ったの。今だって色んな女に手出して、遊びまわってるんでしょ？」

チラッとスマホをみるけど、鳴ることないカトク。

『うん…そうなのかなぁ』
「大切なAのこんな顔見たくなかった」
『ごめんねチェリン。いつも心配かけちゃって…』

優しい眼差しのチェリンを見ていると、目に涙が浮かんできてぽろぽろ溢れてしまった。

『ジミンさん…優しいんだよ？私の涙拭ってくらるんだよ？頭も撫でてくれるんだよ？だけど、そんな子はきっと…いっぱいいるんだよね…』

チェリンもすぐに泣いてしまいそう。
ものすごく辛そうに唇を噛み締めている。

「A…そんなの私がしてあげるよ？」
『チェリン…』
「パクジミンじゃなくったって、私がずっとAの側にいて、涙拭ってあげる。抱きしめてあげる。頭だって撫でてあげる。キスもいっぱいしてあげるよ」

私の手を握って、目をうるうるさせてそう言ってくれるチェリン。

『チェリン、ほんとに…ありがとう』
「A私ね」
『ぐすっ…うん。どうしたの？』
「Aの事が好きだよ」
『私だって大好きだよ』

ふふっ、幸せだなって顔がにやけてしまう。

「A違うの、そういうのじゃなくて…」
『チェリン？』
「私のAへの好きは…」

がたっ

急に腕を掴まれて引っ張られる。

その拍子にテーブルの上のコーヒーがぐらついて溢れてしまう。

『えっ？』

私の背中を抱き止めるように、そこに立っていたのは

「パクジミン…」

驚いて涙がこぼれたまま止まる。

『ジミンさん…』

ジミンさんは驚くほど冷たい表情をしていて、なぜかチェリンを見据えている。

「気持ちは分かるけど」

私のバックや上着を次々に取り上げ、ジミンさんは自分の財布からお金を取り出してテーブルに置いた。

「それ以上言わないであげて」
「行くよ」

ジミンさんは私の腕を引いたまま店を出ようとする。

『えっ。チェリンっ、ごめんね、また連絡するっ』

チェリンは驚いたような、悲しいような、優しい表情で小さく頷いてくれた。