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4.JIN ページ4

ただの妹だったのに。

いつの間にか大人になっていたんだ。

俺の腕の中に隠してしまえたら。

誰にも触らせることなんかなく。

どんなに我慢せずにいられたんだろう。

君はみんなに愛されているから。

俺だけの君でいてくれなんて無理なんだろうな。

それでも俺は長男として、守るよ。

傷つかないように、ずっと笑っていられるように。

なにを犠牲にしたって。




Aは僕たちの妹だ。

妹と言っても本当の妹ではない。血は繋がっていない。けれど家族より強い絆で俺たちは結ばれてる。かけがえのない存在。
そう、Aは仲間だ。防弾少年団の。

少年団って名前のグループに女の子ってなんだって誰もが思うだろう。
世界中の人が思ったように僕たちもそう思った。
あまりにもAが不憫すぎると。せめてグループ名を変えて欲しいとプロデューサーに話もした。けれど、それを断固として反対したのがAだったんだからみんな呆気にとられたものだ。

防弾少年団は唯一無二。

そう言って笑うAがどんなに誇らしく、輝いていたか。

ご存知の通り、僕たちはデビューしてから順風満帆、いつも華々しく活動してきたわけじゃない。
嬉し涙も悔し涙もたくさん流してきた。
辛い時も苦しい時も嬉しい時もずっと8人で過ごしてきた。
僕の苦手なダンスレッスンに付き合ってくれたり、
食事をみんなで食べたり、一緒に片付けをしたり
こっそり出かけたり、
撮影の前にはみんなでふざけて大笑いしたり、
無理をして声が出なくなって叱られたり。
数えきれないほどの些細な日々の中で。
その中にAがいた。当たり前のように。


ふと気がつけば、少年から僕たちが青年に変わったように、
Aも少女から女性へと変わっていて。
毎日一緒に過ごす日々は何も変わらないのに。
僕の心が変わってしまった事に気がついてしまって。
無性に泣きたくなってしまう。

誰にも気付かれないように。

君を守るために。



「ジンオッパ!ねぇねぇ聞いて!」


『Aは今日も可愛いね。どうしたの?』


嬉しそうに声を弾ませて、宿舎のリビングへかけてくるA。


「あのねっ!告白されちゃったよぉ!!」


『なっ!なんだってえぇ!』


俺のリアクションにけらけら笑いながら、言葉を続けるA。


『許しませんっ!』


なんてふざけて笑いながら、暗くて黒いものが心に広がっていくのを感じた。
そしてその感情は気付かれないように奥へと追いやるんだ。

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作者名: | 作成日時:2021年4月30日 23時

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