13.JIN 5 ページ13
ガチャンガタガタと大きな音がして、
ソファまでかけてくるA。
もうその動きがおかしくておかしくて。
「なに?(笑)」
『あっ!?あぁー!友達が遊びにきてその時に見てたやつっ!あぁ、うん。そう、そのままになってた?うん。私は見てない!見てない見てない。ライブ映像なんてみてないし』
画面と僕の顔を交互に慌ただしくみつめて、リモコンを引ったくろうと手を伸ばしてくる。
「そっかそっか。なんだかんだJINの僕も見てくれてたわけね」
『みっ、みてない!JINに興味ないっ!』
そう言って俺の顔を見つめて、なぜかPC部屋を見るAの視線。
「なに?」
『なにもないっ、何度も言うけど絶対私のPC触らないでよっ』
目をキョロキョロさせるから挙動不審もいいところだ。
「A、こげくさい」
『っあー!!』
慌ててキッチンに戻っていくAをみて、ソファから立ち上がりPCの部屋へこっそり戻る。
今はデスクの上の画面は真っ暗。
触るなと言われ続けてきたAのPCの電源ボタンを押す。
しばらく待って、デスクトップ画面が表示される。
「これは…やばい」
思わず両手で顔を覆ってしまった。
JINに興味がなく、勿論BTSにも興味がない。
私はキム・ソクジンの幼馴染で親友であって1番の理解者だ、というのが口癖のA。
長期休暇の取れた日は必ずAのところへきて、
思う存分寝てゲームをして寝てゲームをする。
お互いに着飾ることもなく、自然体でいられて、
料理をしたりカップラーメンを食べたり大声で笑って。
Aの側ではいつでもソクジンに戻れた。
ここが俺の心の居場所であって、なくてはならいもの。
この部屋も、Aの隣も。
『ソクジンっっ!!!!』
バッターーーンと言う擬音が相応しいほど、ものすごい勢いで開かれた扉。
僕は手で顔を覆ったまま、片目だけ指の間から目を出す。
そしてもう片方の手は、画面を指差しAを指さす。
「やーーーーーー!!」
顔を真っ赤にしたAが、僕につっこんできて体当たり。
ゲラゲラ笑いすぎておかしくて涙が出てきた。
笑いすぎもあるけど、なぜだか嬉しくて。
体中あちこち叩かれながら、画面に目をもう一度向ける。
そこには僕がJINとしてメンバーと笑っていて。
連動してついた残り二つの画面には、
僕とAのすっぴんの写真、
二人で出かけた何気ない僕がうつしだされていて。
『私は何も知りませんー』
だなんて、大嘘ついてるAを抱きしめた。
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作者名:蘭 | 作成日時:2021年4月30日 23時