21話 月島蛍 スワンプマン ページ22
目の前に並べられた、明らかに僕たちの誰もが食べたことのないような高級な肉。
肉
肉…。
日向「い、いただきます!」
日向が緊張した感じでそう言うと、僕たちはそれに倣う。
そしてワンテンポ置いた後藍美さんが「いただきます」と小さな声で呟いた。
山口「…!美味しい…。」
藍美「よかったです。お肉って焼いて食べるんですね。」
藍美さんの言葉を聞くと僕を含めた4人の動きが一瞬止まる。
明らかに僕たちより年上の人が「お肉焼いて食べるんですね」って…。
やっぱりこの人なんかおかしい。
藍美「それに意外と多いんですね。」
月島「人がってことですか?」
店内を見渡すと、平日の夜の高級焼き肉店ということもありそんなに人は多くはない気がする。
街中とか、この時間ならファミレスにたむろしている学生の方が多いだろうと思う。
藍美「あ、気にしないでください。月島さんも、もっと食べてください!」
月島「ありがとうございます。でもお金…」
藍美「お金?ってこれですか?」
そう藍美さんが言うと、この雰囲気には似つかわしくないぐちゃぐちゃになったお札がポケットから出てきてそれを強く掴む。
山口と目が合うと完全に引いていて「やばいね」と口パクで伝えられた。
やっぱり馬久留さんが言っていた「偽物」というのは本当かもしれない。
とても大人の女性とは思えないから。
しばらくご飯を食べていると藍美さんが口を開いた。
藍美「あの、スワンプマン…ってご存じですか?」
1人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:雪 | 作成日時:2021年1月24日 12時