第32話 ページ34
A「尾行、ですか」
イシド「ああ。伊賀島中に事情を説明し、葉名野明を呼び出してもらう。その帰り道を尾行するんだ。エクスターの人間であれば帰り際に報告に行くかもしれない」
ただ、報告に寄るとは限らない。そうすれば無駄足になるし、下手をすれば俺たちがエクスターを探っているのが勘づかれる可能性もある。とも豪炎寺さんは付け足した。
虎丸「なるほど、やってみる価値はありそうですね。そうと決まれば早速…」
A「あの、それ私に任せてもらえませんか」
私は虎丸さんの言葉に被せるよう発言した。
豪炎寺さんが眉間に皺を寄せ、心配そうにこちらを見る。
イシド「…この役割のリスクを分かって言っているのか」
A「はい、もちろんです」
この役割のリスクというのは、万が一尾行がバレた時、エクスターの人間とエクスターに協力しているフィフスの人間、その双方から敵視されるということだ。
エクスターに捕まればもちろん無事では返されない。フィフスの人間にバレればもうフィフスには居られなくなるだろう。
だがその役回りを豪炎寺さんや虎丸さんにさせたくなかった。
豪炎寺さんはフィフスセクターの聖帝として広く知られているし、虎丸さんが聖帝の側近であることを知っている人も少なくはない。
そんなフィフスのツートップとも呼べる人たちが革命派の学校のために動いていたと知られればフィフス、エクスターだけの問題に留まらず、雷門を中心としたサッカーの革命も頓挫してしまうかもしれない。
それだけは絶対に避けたかった。
A「必ず責任を持ってやり遂げてみせます。お二人に迷惑はかけません」
豪炎寺さんと虎丸さんは黙って顔を見合わせると何か意思疎通をしたようで、こちらを向いて静かに口を開いた。
イシド「お前のやることを迷惑だと思うことは無い。これまでも、これからもだ。…あまり無理をしてほしくはないが、今回はお前に頼むのが一番良いというのも分かる。頼まれてくれるか、A」
A「はい、お任せください…！！」
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作者名：master_2 | 作成日時：2023年3月19日 11時
